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ブレインストームのlamのレビュー・感想・評価

ブレインストーム(1983年製作の映画)
3.8
他人がステーキを食べると、もう一方の人間は食べていないのにその味と満腹感を味わう。他人の記憶や知覚をそのまま共有できれば、どうなるのだろうかという純粋な科学ロマンス映画であって、その純粋な科学的好奇心の結果、悪夢が顔を出す映画でもある。

さまざまな出来事の追体験が可能になりつつある現在。この映画のような五感を通じた疑似体験とは言わないまでも、家にいながら多くのものを見聞きできる。その究極は、五感の共有であって、この映画はまさにそれが実現したなら…という空想科学。

例えば、あるワンシーンで、研究員の一人が好奇心に駆られ、ポルノビデオを疑似体験し、心臓麻痺を起こしかけるという事件が起こる。これは今日的なインターネット・ポルノ中毒のようなもので、慢性的な過剰刺激は身を滅ぼすという警鐘でもある。

さらに、物語が飛躍していって、ついには「死」までも疑似体験の対象になってくる。こうなってくるともはや未知の領域でかなり面白くなってくる。
魂が肉体を離れて、自分を俯瞰で見降ろし始める臨死体験から、そのまま魂は空を超えて走馬灯とともに宇宙へと展開していくというシーケンスを支えたのは、ダグラス・トランブル監督とアリソン・イェルザなどの特殊効果マンたち。良い映画を観た。
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