炭酸煎餅

地球の静止する日の炭酸煎餅のレビュー・感想・評価

地球の静止する日(1951年製作の映画)
3.0
1951年公開の古典SF。
ある時、地球の上空を6500km/hで飛ぶ円盤状の未確認飛行物体が現れ、ワシントンD.C.の公園に着陸した。軍と警察と野次馬が取り囲む中、機体から現れたのはパイロットスーツ様の奇妙な衣服を着けた一人の人物と一体のロボットだった。
緊張が限界に達した兵士の一人が反射的に人物を撃ってしまい、ロボットは周囲の武器兵器を溶解する攻撃を始めるが、彼はロボットを制止すると、自分は地球各国の指導者にどうしても同時に伝えたいメッセージがあって4億km彼方の惑星から来たのだという……。

侵略者ではなくメッセージを伝えに来た異星人、あれやこれやと自分の都合を言って非協力的な世界、と後年の邦画SF「宇宙人東京に現わる」とも通じる要素を持つ本作ですが(というか当然意識はされているんでしょうが)、本作の方はずっとストレートにファーストコンタクト物としての作りになっており、代表者を一堂に会させる為に市井に紛れて策を巡らす異星人の主人公・クラトゥと、シングルマザー母子との交流と淡いロマンスというストーリーが主軸となっています。

最後にいよいよ明かされるクラトゥが携えてきたメッセージは、現代から見ると「え、それだけ?」という拍子抜け感が無いわけではないのですが、第二次大戦終結後たった6年しか経っていない、にもかかわらず核開発競争に邁進し東西冷戦真っ只中の世界に対してのメッセージとしては重い物があったんだろうなあ……と想像が出来ます。

古典ですし今どきに比べれば凝った作品ではありませんが、一度は観ておいてもいい作品かもしれません。
炭酸煎餅

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