雨虎

ドラえもん のび太のワンニャン時空伝の雨虎のネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

立て続けに短編作品が原案で大山ドラえもん最後の映画作品。
最後の大山ドラえもん映画作品ということもあってか、過去作を想起させる内容がいくつか登場する。
最も分かりやすい例ではワンニャンつけ耳は『アニマル惑星』で登場した動物ごっこ帽子とよく似ており、『宇宙小戦争』のロコロコをモチーフにした遊園地の乗り物がある。他に『大魔境』で活躍した名刀電光丸などがあった。

前作と同様に短編作品をうまく肉付けした良い作品だと思う。例えば、古代都市の存在や像、他に魚屋で買い物する姿など、あの時代に生きているリアリティを出している点は素晴らしい。
それだけに、ペットに関する問題はかなり現実味があった。当時は動物愛護の意識は広まりつつあるものの、捨て犬捨て猫の存在もまだ多かった。それに保護団体も少なく、救える数も多くない。そういった時代だったのは事実で、それが現実感のある描写の一つとして表現されている場面を見ると胸が痛い。

時を越えた友情と言うと陳腐で薄っぺらい表現ではある。しかし、それでも忠犬ハチ公の存在であったり、世代交代という瞬間や時代背景、過去作品を想起させる品々と様々な内容で時間に関する内容が盛り込まれていた。
また、結末でイチと別れる際に連れていけないというシーンは大長編の原点でもある『のび太の恐竜』も想起させる。イチとのび太、ピー助とのび太のやっていることは逆ではあるが、最後の作品で最初の作品の結末を重ねているのではないかと考えたときはとても感動した。
こういった鑑賞者が過去を振り返ることも時空伝の一つとしてのタイトルなのかもしれない。
雨虎

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