炭酸煎餅

犬神家の一族の炭酸煎餅のレビュー・感想・評価

犬神家の一族(1976年製作の映画)
4.6
YouTubeで無料公開中ということで鑑賞。(多分3回目くらい)

面白かった……!
2時間26分と当時としては超長尺の映画ですが、ふとタイムカウンターを見た時に「えっ、もう50分経ってるの?」とか「ん、こっからまだ30分あるのか」と思っても気が付いたらエンディングになっているという感じでめちゃくちゃ惹き込まれるテンポと演出の巧さ。
個人的に金田一はハセヒロやゴローちゃんあたりの「いかにもな変人ぽさ」が見えるくらいのが好みなんですが、本作の石坂浩二の金田一もクセの強い登場人物が多い中、少々変わり者ながらも好感の持てる青年という感じで、物語の締めで多くの人が見送りに行きたがるのも納得のキャラ造形でした。
(ところで自分のツイート遡るとどうやら私前に「獄門島」観たときも全く同じこと思ったみたいなんですが、石坂金田一って表情とかにちょっと大泉洋っぽさありません?)
また高峰三枝子の妖しげな存在感を始めとするキャスト陣の演技も素晴らしく、生々しい欲望が渦巻くドロドロとした人間模様を描き出していたように思われます。(小沢栄太郎の古舘弁護士の朴訥としつつも誠実さの見える演技等、犬神家外の人々の素朴なキャラクター性も魅力)

時間の都合と映像化上の要請により原作再現度という点では他作品に譲る部分もあるようですが、心理ホラーとも言える演出が活きるサスペンス映画になっていたのではないでしょうか。
炭酸煎餅

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