雨虎

ドラえもん のび太と夢幻三剣士の雨虎のネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

内容自体は『三銃士』をモチーフにしていたり、RPGゲームのような仲間たちとの冒険、魔物たちとの戦い、一つ一つの試練の突破と私のようなゲーム世代から見ると馴染み深い要素が多く、楽しい作品ではある。

ただ、難解過ぎる上に、今までの定番とも言えるドラえもんメンバーの協力による解決も行われていないし、何かしら教訓とも言えるようなメッセージ性も見当たらない。また、ひみつ道具が原因の事件であったとしても事件解決後は影響が残っていないというのも基本的な方針だったはずなのに、ラストを見るとそうではない不気味なものとなっている。かなり異色の作品だ。
実際、藤子・F・不二雄も失敗したという旨の発言をしている。それぐらい今までとは異なるということに注意したい。

個人的な考察ではあるが、こうは考えられないだろうか。
トリホーは夢カセット「夢幻三剣士」の登場人物ではあるが、他の登場人物とは異なる言動を行っている。また、現実世界でのび太に知恵の実を与えた老人、未来デパートの店員と思しき人物と同一人物を疑える三人が登場する。
おそらく、現実世界の老人は未来人で知恵の実もある種のひみつ道具だったのかもしれない。だからのび太が普段解けない問題もすらすらと解けるようになり、効き目が切れると解けなくなるという不可解な出来事がおきた。それに移動も手を動かして鳥のように羽ばたくというのも謎だ。
そこで、トリホーが気ままに夢見る機の隠しスイッチを押したことで現実と夢の境界が曖昧になったまま戻れなくなった被害者という可能性を考えた。現実世界で行動することはできるが普通の人には戻れない状態になっている。だから、「夢幻三剣士」をクリアできる人物を探し、のび太を見つけた。
夢世界での暗躍と現実世界での暗躍を行い、現実世界でおいてきたドラえもんのポケットを奪い、再び置いてくる等どういう状況であっても夢世界にポケットがある状態にしておく、そして妖霊大帝の討伐で効果を発揮させた。妖霊大帝側に有利になるようにするなら警備を厳重にしたり、処分したりした方が効果的にも関わらず、手薄な警備に大切に保管されていた。
そして、未来デパートに返品されようとしたときのシルクの登場。彼女は本当に案内マスコットでしかないのだろうか?トリホーがそういうアバターを乗っ取って誘導したのでは?という疑惑もある。
結末として、妖霊大帝を倒した瞬間にトリホーに似た未来デパートの店員が来た。引き取りにくるのに2,3日かかると言っていたのに、1日たたず、しかも真夜中に来る。怪しすぎる。ここは本当の店員に事が露見しないようにしたのではないだろうか。

そういったことを考えるも、どれも推測でしかない。
トリホーは被害者なのか、それとも気ままに夢見る機を悪用しようとしている未来の犯罪者なのか、その両方なのか、どちらも違うのか、様々なことが考えられるだけに難解な物語だ。
雨虎

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