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永遠のハバナのbennoのレビュー・感想・評価

永遠のハバナ(2003年製作の映画)
4.8
¿Cuál es tu sueño?

  あなたの夢は何ですか?


先日、ヘミングウェイの家を訪れたので…彼が愛した街キューバの首都ハバナが舞台の作品を鑑賞…。

ハバナに暮らす市井の人々の日常を映し出したドキュメンタリー作品です…。

モロ要塞の灯台の灯りが消え…ハバナの街に新たな1日が始まります…。

キューバと言えば…言わずもがなのチェ・ゲバラ…しかしもうひとり、キューバ人が心を寄せる人物が…ジョン・レノン…。

ジョン・レノン公園にはベンチに座る彼の銅像が…しかし、ジョンの眼鏡が盗まれたことをキッカケに、今ではベンチの前で椅子に座り住民が交代制で監視しているのです…激しい嵐の日でもじっと椅子に座り続けます…。

ジョン自身の人気は勿論ですが…移民労働者や難民など、ここまで普遍的な現象になっている現在…第三世界に共通の問題として、ジョンが象徴する国境のない未来の世界像はキューバ人にとって心の拠り所なのかもしれません…。

物語は12人の人物をピックアップ…彼らの1日をただ映し出すだけ…それだけなのに…こんなにも心に響きます…。

中でも印象的だったのは…ダウン症のフランシスキート(10歳)と父フランシスコ(55歳)との関係…ふたりで夜ハシゴを登り満月の夜空を眺めるシーン…ふたりをバックから撮ったショットが堪りません…。

また、アメリカ系キューバ人のジョージ・ルイス(42歳)が家族と離れてキューバを出国…タラップを上り、去り難いのか後ろを見る表情が切ない…弟は俳優を目指しピエロのバイト…子供を笑わせているシーンと兄の飛行機が離陸する映像がクロスカット…泣けます…。

まだまだ12人分のそれぞれのストーリーが心に刺さるものばかり…。

何にも増して…シルビオ・ロドリゲスのキューバ音楽が素敵過ぎて涙を誘います…。

勿論、映像もカット割を多用し、それぞれの人物のストーリーの間にハバナの街の映像を挟んだり…割り方が兎に角カッコいい…。

昼間の彼らの働く姿や職人技を見せる手のショット…ゲリンの作品を彷彿としますが…やがて日が暮れ夜を迎えると街の表情も一変し、彼らも新たな一面を魅せるのです…それぞれが描いた夢の世界…。

ラストで12人の紹介を種明かし…素敵な構成…。

キューバ映画がもっと観たいです……❤︎*。


因みに…ヘミングウェイの愛猫は指が6本…その子孫に会えましたが…しっかり6本でした…ᗢᘏ୭♡
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