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ウンベルトDのbennoのレビュー・感想・評価

ウンベルトD(1952年製作の映画)
4.1
ヴィットリオ・デ・シーカ監督作品…
『ひまわり』の監督さんです。

「年金支給額を上げろー!! 」…公務員のデモ隊の行進から始まるストーリー…。

ウンベルト爺さんは公務員を退職…愛犬フライクとアパート暮らし…。

敗戦の影響で生活は困窮し、おまけに家賃の大幅値上げ…これまでの滞納分を払わなければ即刻立ち退きするよう家主に言い渡されています…。

現実問題…どうにもなりません…。

大事な時計や身の回りの物を売ったり…かつての友人にお金を借りようとしても、笑顔でかわされてしまいます。プライドが高く、不器用で嘘がつけない性格が邪魔をします…。

やたらと視界に入るミネルバ広場の象のオベリスク…象の顔が嘲笑っているよう…。

万策尽きて物乞いをしようとしても自尊心が許しません…フライクに帽子を咥えさせ代わりにやらせようとします…ちんちんの姿がとてもとても可愛いですが…巨大な建造物パルテオンの前での対比がとても痛々しくて切ないです。

そこまで追い詰められても世間は残酷なまでに気づきません。リアルな周囲の冷たさと無関心さ…Just so!!
これがデ・シーカのネオレアリズモ?! …とことん厳しい世の中です。

ウンベルト爺さんの口から声が漏れます…
「もぉ…疲れた〰︎っს」


  〜〜〜⚠︎以下ネタバレ含みます⚠︎〜〜〜





そしてウンベルト爺さんは覚悟を決めます。しかしこの作品は忠犬物語ではありません。人間は絶望すると死を望みますが、動物には圧倒的に"生"の執着があります。自死する犬など聞いたことがありません…飼い主にどんなに忠実であろうとも、それ以上に本能的に生存欲求があります。

ウンベルト爺さんの事情などフライクには関係ないのです…そんな決定的な違いを目の当たりにしウンベルト爺さんも長い苦しみから解放されるのです。

フライクがいれば大丈夫!!

今作でのベストアクターはもちろんフライク!! 可愛い上に素晴らしい演技でした!! 因みに…気付いちゃいました!! フライクは㊙︎匹いますෆ*
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