義清

こわれゆく女の義清のレビュー・感想・評価

こわれゆく女(1974年製作の映画)
-
精神病で振る舞いのおかしいという役を演じることは、よく考えたら普通の人間としてはすごく難しいことだろう。メイベルの狂ったような演技は圧巻だった。あれは、ジーナローランズ自身の中に潜む狂った一面を表層に押し出すことに成功した結果なのだろうか。きっとそうだろう。自分の中にも「狂った」精神はある。変に甘えん坊だったり、残酷だったり、場の空気を思い切り乱してみたくなったり。
メイベルが玄関先で子供達に語りかけた一言がすごく印象深い。「私が人生で成し遂げたことと言ったら出産くらいのもの。あなたたちはみんな私が産んだのよ。すごくない?!」母親ってそうなんだと思う。自分の子供は、「産みの苦しみ」をへて創造した作品のようなもの。しかもその「作品」には息が通い、ものを思い、言葉を発する。だからこそかけがえのないものであり、出産という行為そのものはとても尊いのだろう。
義清

義清