雨虎

ドラえもん のび太の宇宙漂流記の雨虎のネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

他作品ではあるが、『マクロス』シリーズを彷彿とさせる宇宙艦隊物となっている。実際にスタッフを見るとそのシリーズのメカニックデザイナーのスタジオとスタッフを起用していることがわかった。それだけあって、メカの描写は本格的で、ひみつ道具のおざしき宇宙船も細かいところまで描写されている。

宇宙についての描写が多く、例えば宇宙空間で大気のある場所とつなげるとどうなるのか、液体はどうなるか、おならした影響と冒頭だけで様々な学びになる内容が盛り込まれている。
また、この作品には過去作の内容が盛り込まれている。宇宙に関連した作品『アニマル惑星』で登場した宇宙救命ボートで拐われたジャイアンとスネ夫を追いかけた場面や地球にない神樹の実を発見したりした場面、環境破壊によって防護服が必要な星の場面で想起させる。
他、『宇宙開拓史』のようにワープ中にでた不具合をドラえもんが修復を助けるという場面やアルマジロのような生物に乗る場面、移民を目的としている登場キャラクターなどが重なる。
『宇宙小戦争』の内容ももしかしたらあるのかもしれないが、気づくことはできなかった。

時代性も盛り込まれている。1999年公開ということもあり『名探偵コナン世紀末の魔術師』のように、世紀末を一つのキーワードとしている。例えば登場人物の中に、アンゴルモアが登場する。いつものスネ夫の教養力もあってノストラダムスの予言に登場する魔王の名前だという説明があるように、意識して制作されたことがよくわかる。

この作品は度々、トラウマ映画と言われるが、眩惑の星に登場する枯れ木の化け物の登場シーンは地球に帰ることができたという安心感を裏切り、恐ろしい体験をさせるという内容である。安心させておいて突き落とすような展開はホラーやスリラー映画でよく使われるため、油断していた私は初見でとても驚いた記憶がある。
雨虎

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