雨虎

ドラえもん のび太の創世日記の雨虎のネタバレレビュー・内容・結末

3.1

このレビューはネタバレを含みます

今作はどちらかと言えば学術的な題材が取り上げられており、楽しむためにはかなり知識が要求されるレベルが高い作品だ。例えば、創世セットでの様子は日本神話を彷彿とさせ、進化論、考古学、歴史と様々な内容が盛り込まれている。しかも内容は大きなアクションも他作品に比べればかなり少なく、地味だと捉えられがちな内容である。

冒頭で風船が土に戻るという環境への配慮がされている点はドラえもん作品らしい。個人情報に対しておおらかな点はこの時代らしい。自由研究はいつも苦労していた記憶があるため、のび太の気持ちはとてもよく分かる。タイムパトロールに職務質問されるなど、やや不穏な空気が漂うものの、こういた創世する内容は発売時期はこちらの方が後だが、北京原人を育成するゲームを思い出し、懐かしい気持ちもある。

この物語としてはのび太らが誤って虫も光線銃で進化させてしまったという失敗から生まれている。結果的にその償いを何十億年後にするという壮大な話だ。
その償いをする相手は昆虫人なわけだが、彼らからしてみれば研究をしていたら神の正体について知れる可能性が出てきたという学術としてはかなり魅力的な話だ。ただ、地上の生物は神のおかげに対して、昆虫人は努力によって進化したような話であるため、やや傲慢さが目立つ。
そして、地上の人類からすれば地底人の発見という『竜の騎士』ののび太たちに相当する体験をしている。
この3つの関係性が判明するまで時間がかかるため、途中の内容は完全にのび太らが地球を創世しているだけという内容で、まるで教材を見ているような感覚だ。

前作『夢幻三剣士』は内容そのもののが難解だったのに対し、今作は内容はさほど難しくなくとも学術的な理解を求められるという意味で難しい。最低でも小学校高学年、もしかしたら中学生ぐらいでないと厳しいのではないだろうか。
創世という壮大なテーマで壮大な内容なだけに細かな話がない。そういういみでも教材のようだった。
雨虎

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