KnightsofOdessa

浮き雲のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

浮き雲(1996年製作の映画)
3.0
[] 60点

1996年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。アキ・カウリスマキ長編13作目。主人公男女が色々あって無職になるというのが、あまりにもこれまで観たカウリスマキ作品と同じ展開すぎて流石に笑ってしまった。犯罪者の店で働いてたら給料貰う前にパクられちゃったとか、テレビから最新ニュースが時事ネタとして流れてくるとか、観たことある展開すぎて、実は前に観たんじゃないかとさえ思ってしまった。とはいえ、こちらもいつも通り細部にはお気に入りも多く、閉店の挨拶で飲んだくれシェフだけオレンジジュースになってるシーン、健康診断で失格になった夫が帰宅して綺麗に転倒するシーン、一人で切り盛りするバーでホールと厨房を一人芝居で切り分けるシーンなど記憶に残る場面も多々あった。終盤はかなり希望的すぎるとも思うが、非人間的な力が少しずつ人間性を剥いでいった先に、この人間性が絶対的に守られる場所があるという温もりを感じた。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa