「突き詰めて、己に還る哀しみを。放つに狭く、壁あつき部屋」
終戦を迎え平和の音も束の間、朝鮮戦争勃発に呼応し再軍備計画が進む日本を背景にした米占領下巣鴨プリズン。BC級戦犯の獄中手記を基に安部公…
このレビューはネタバレを含みます
「夜はみんな気がおかしゅうなるもんばって、 明日になれば後悔するばい」
「下衆!殺してやろうと思ったが、殺すのが惜しくなったんだ。死ぬよりも腐る方が貴様には似合ってるんだ!」
なぜ戦争責任者には…
「文明と平和の名において裁かれた戦犯たちがここに服役している。私たちがここを訪れたのは無論単なる好奇心からではない。この日本の過去を葬った墓にも等しいあつい壁の中に、8年もの間生き埋めにされていた恐…
>>続きを読むこれが1950年代の映画とは...。
ただひたすらに感服である。
特筆すべきは「音楽」の使い方。
現地の男性が歌う、現地の歌は、
「生」と「死」の全てを背負い歌われる。
主人公が母親の亡骸に泣き…
朝鮮戦争が始まり日本を再軍備させたいアメリカ占領下の巣鴨プリズンが舞台。上官の命令に従い現地民間人を殺し戦犯になった男が、一時保釈時に上官を訪ね復讐を果たすかどうかを軸に、戦争の罪やヒューマニズムを…
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☆☆☆★★★
「ビラで尻(ケツ)は拭けても、魂は拭けねえんだ!」
巨匠小林正樹の中でも地味〜な作品です。
題名の〝壁あつき〟とは刑務所の事。
同じ独居房でB級C級戦犯の6人が、アメリカからの独…
安部公房が脚本を書いている割に独創的な独白が少ない。むしろ心理サスペンスとして仕掛けが張られていて面白かった。会話劇なので映画的な要素は少ないが、トラウマを構図の一致で表すあたりは小林直樹っぽい。…
>>続きを読むBC級戦犯の手記を元に安部公房が脚本、小林正樹監督が社会派志向を全面に押し出す原点となった作品。同監督の『東京裁判』と合わせて見たい作品でもあり、ここ数年でソフト化され視聴手段も増えてようやく見る事…
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