むらむら

黄金の七人のむらむらのレビュー・感想・評価

黄金の七人(1965年製作の映画)
5.0
1965年に制作された、ジュネーブの銀行を襲う7人組の男たちと「ルパン三世」の峰不二子みたいな妖艶な美女によるクライムコメディ。

冒頭、銀行の地下金庫を狙いに行くシーン。みんなお揃いの黄色い車で向かってるところに、アルマンド・トロヴァヨーリの「ダバダバ~」曲がかかる。俺的にはこのシーンのカッコよさだけで満点です。

銀行強盗団は「教授」と呼ばれるインテリ男のもとに、それぞれの役割で金庫への地下道からの侵入を遂行する。このシーンが、水路を使って地下から銀行の金庫に穴を開けて、教授は「サンダーバード」みたいなレトロなコンソールでホテルから指令を送って……と、もう中学生の想像する「スパイ大作戦」みたいな内容でワクワクする。

あ、真夜中にマシンガンを撃ち抜いたり、ホテルの屋根を滑り落りるような、激しいアクション描写はありません。

ちなみに当時ジュネーブ(スイス)では、銀行強盗を映画で描くことは法律で禁じられてたらしい。なので、実際のジュネーブのスイス銀行前でのロケでは、嘘の台本で現地の人たちを騙し騙し撮影したとのこと。まるで工事現場の人たちを装って銀行や警察を欺く、この作品のストーリーみたい!

んで、やはり特筆すべきは、妖艶な美女ジョルジャ(ロッサナ・ポデスタ)。ホントまんま「峰不二子」。「ルパン三世」の元ネタになったと言われてるらしいけど、100%同意。

男たちを手玉に取る華麗な手腕。無意味に毎回毎回、衣装チェンジして登場する豪華さ。男たちはずっと作業着なのに、なんなのこの逆差別。ロッサナ・ポデスタ、監督の奥さんってことだけど、まさかこの作品の経費で、自分の服を買い漁ってた、ってことはないよね?

前半の金庫攻略に比べ、後半の騙し合いは、ちょっとテンション落ちてるかな、って気はするけど、ローマのコロッセオとか映ってて、絵になるオシャレな描写は続く。

そういえば、こないだアフリカ行ったときに「イブ・サンローラン博物館」って行ったのね。

モンドリアン図形をあしらったモンドリアン・ルック(1965)。狩猟服をファッションに高めたサファリ・ジャケット(1968)。有色人種を初めてパリコレのランウェイに起用したこと(1978)。様々な映画・ダンス・舞台への意匠面での貢献。どれも大変に興味深かった。

イタリアとフランスを同じに扱うな、って言われそうだけど、この作品も合わせて、1960年代のヨーロッパが、改めて世界のトレンドをリードしてたんだなーってのを実感させられた。

今回リバイバル上映ということで池袋の映画館で観ることが出来て幸せでした。客層、めっちゃ年齢高めだったけど。

最後に余談。

この作品に影響を受けた、とある曲の話。その曲の歌詞に、女の子を探し出す描写で

「♪帽子の頭文字から 部屋番号を探し出した」

ってフレーズがあって、「どんな帽子やねん」って、俺はずっと疑問に感じてたのね。

今回、この作品の後半で、教授が峰不二子のホテルの部屋を探し当てるシーンがあって。そこが、そのネタなのかな、と思って楽しみにしてたの。

そしたら、峰不二子は帽子を被っておらず、教授が僧侶の変装をして後をつけて、峰不二子の部屋を探し当ててた。うーん、長年の謎が解明されずに残念。

ってことは曲オリジナルの創作だったのか。まぁ確かに

「♪帽子の頭文字から 部屋番号を探し出したー」

のほうが

「♪僧侶の変装をして 部屋番号を探し出したー」

より、よっぽどロマンチックだもんなぁ。

(結局、META FIVEのライブを観る機会がなかったなぁ、と思いつつ おしまい)
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