むらむら

オッペンハイマーのむらむらのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
5.0
(注)エッチな感想ではありません

原爆の父と言われるJ.ロバート・オッペンハイマーを題材にしたクリストファー・ノーラン監督作品。

日本人である俺としては色々と思うところはある。

だが、実際に観てみると、J.ロバート・オッペンハイマーという稀有な天才の苦悩と、彼をとりまく様々な対立(政府vs科学者だったり、思想だったり、恋人だったり)をノーランお得意の時間の再構築でガッチリまとめた良作だった。

というわけでJ.ロバート・オッペンハイマーというキャラクターに関する感想を手短に7つのポイントに絞って簡単に書いておく。

ただ、J.ロバート・オッペンハイマーを、毎回フルネームで書くと、せっかくポイントを絞ってるのに、この限られたフィルマークスのギガを消費して非効率だ。

J.ロバート・オッペンハイマー自身、作中でも「Jには意味がないよ」と言ったり、みんなに愛称で呼ばれていたりと親しみやすい部分もあったので、俺も、J.ロバート・オッペンハイマーのことを

「おっはい」

と略させて頂き、今回の感想を書いておきたい。

🎩1.迫力のある「おっはい」

まずこの「おっはい」、かなり迫力があった。

俺はIMAXではなく、普通のスクリーンでの鑑賞だったのだが、それでも、「おっはい」を大きなスクリーンで鑑賞できる感動が押し寄せる。

「おっはい」の生み出した破壊力、世界に「おっはい」が与えた衝撃……などなど、とにかく迫力のある「おっはい」を楽しむことが出来た。

🎩2.「おっはい」は正義?

だからといって、無条件にノーラン監督が

「『おっはい』は正義!」

と全肯定していないのにも好感を持った。

例えば「おっはい」は

「我は死なり、世界の破壊者なり」

と語られているが、押しつぶされるほどの破壊力だけでなく、「おっはい」のおかげで世界が救われていることも、また事実。

3時間の上映時間中、「おっはい」に対して、何度も感情を揺さぶられる瞬間を感じさせられた。

🎩3.左よりの「おっはい」

作品中、特に時間を掛けて描かれるのが

「『おっはい』が左より!」

というエピソード。

明確に「左」ではない無いものの、「おっはい」が、かなり左に傾いていたのも、そのとおりなんだろう。

そのため、アメリカの秘密聴聞会で、「おっはい」は、男たちに徹底的に調べられることになってしまう。

「おっはい」にとって、男たちに責められて、とても、ツラい時間だったに違いない。

🎩4.「おっはい」の秘密

とはいえ、左より以外にも「おっはい」には秘密があった。

それが若い頃に知り合ったジーンとのエピソード。詳細は省くが、このジーン関係のシーンで、

おっぱい

が出てくるのだ。

このおっぱいのおかげで、「おっはい」はアメリカでR指定になったらしい。

とはいえアメリカでは大ヒットしているらしいので、みんな「おっはい」が観たかった、ということなんだろう。

俺的には、ジーンと「おっはい」が、「揺れる」「揺れない」と会話しているシーンが印象的だった。

このシーン、その後、様々な人達にもみくちゃにされ、右に左に揺さぶられる「おっはい」を暗示していて、なにげに深い意味のあるシーンだった。

🎩5.「おっはい」が「ほぼ無い」という発言

劇中印象的だったのが、マンハッタン計画を立案したグローヴス将校と「おっはい」の一連のくだり。

「おっはい」の威力が地球を覆い尽くすという結果が「ほぼ無い(ニアゼロ)」という「おっはい」発言に対して、

グローヴス将校が「全く無い(ゼロ)じゃないのか?」と詰め寄るシーン。グローヴス将校の焦りが伝わってきて、手に汗にぎらされた。

🎩6.小さくて良い「おっはい」

もう一つ記憶に残るのが、テラーという科学者が、ロスアラモスで研究している「おっはい」に対して

「大きいほうが良い!」

との主張を繰り返し、「小さくて良い」という「おっはい」派の意見と対立するシーン。

結果、テラーはロスアラモスを飛び出して、「おっはい」と決裂してしまう。

劇中後半でも語られるが、「おっはい」は使い勝手の良い、小さいほうの成果に固執していた。また、「おっはい」は「ソ連には作れない」とも主張していた。

これがまた「おっはい」が「左よりなのでは?」と、厳しく取り調べられる原因にもなっている。

🎩7.俺の感想

これまで、この作品の中での「おっはい」に関して、俺なりの意見を述べてきた。

「(『おっはい』は)世界を破壊した」

こう、「おっはい」がポロリするところで、この作品は終了する。

だが、作品を観た限り、「おっはい」はとても複雑なので、一言で感想を述べるのは難しい。

とはいえ、この作品を通して、「おっはい」に対して、これまで知らなかったことを、色々と知ることが出来たのも事実。

俺はこれからも、「おっはい」に対し、ネットで画像検索したり、「おっはい」に関する本を購入したりしてしまうことだろう。

「おっはい」の魅力を、改めて感じさせる作品であった。

🎩0.余談

最後に余談だが、作中、「おっはい」に向かって、ロスアラモスの研究員たち全員で

「オッピー! オッピー!」

と喝采を送るシーンがある。

このシーン自身、俺としては、とても複雑な気分になった。

だが、もしロスアラモスの研究員たちの「おっはい」への略称が「オッピー」ではなく「おっはい」だったら……。

このシーン、全員で

「おっはい! おっはい!」

と連呼していたことだろう。

……なんか別の意味で、日本人である俺としては、複雑な気分になったに違いない。

(おっはい)
むらむら

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