「まんが道」等での「みんなの兄貴・テラさん」というイメージで知られる寺田ヒロオ氏を主人公に描くトキワ荘物語。
Wikipediaとちょっと見比べるだけでも事実とは時系列とか事情も大分違うのが分かるくらいに脚色されてるんですが、状況や人物を説明するナレーションやテロップが一切無くてどれが誰とかいう情報がセリフとかから読み取るしかない辺り、「まんが史」的な、ドキュメンタリー的な事柄じゃなくてその時代の、その場に居た人たちが感じていた空気感そのものみたいなものを描きたいとか、そういう意図なのかなあ、という感じを受けました。
あとこれもWikipedia情報によると、キャストの方はインディーズ映画とか小劇団系の、当時無名に近い演者を起用してるらしいんですが、そこからさらにリンクを辿っていくと今ではググらなくても分かる人がいる一方で演技方面を全く引退してるらしい人も居て、同じく表現者の世界でのそれぞれの道、という点でちょっと映画の内容と重なる所もあるよなあ……等と思ってもみたり。
ドラマ的な派手さは無いとても静かな作品ですが、取り残される者、名を成せなかった者の寂寥感や哀愁を描いた良作だと思います。
創作や表現をしている人には特に刺さるんじゃないかなあ……
