炭酸煎餅

さよならジュピターの炭酸煎餅のレビュー・感想・評価

さよならジュピター(1984年製作の映画)
3.1
「火星の極冠の氷床の下からナスカの地上絵と酷似した明らかに人為的な線画が発見される」という魅力的な謎に始まり、緻密な模型を使い邦画初の技術を取り入れた特撮、海外SF作品を意識した背景美術や小道具……と、邦画でハード志向の本格SFを!という意気込みが強く感じられ、メインストーリーとなる「太陽系に迫る謎の危機」のフック描写も巧みで物語の開幕では正直、映像と展開にかなり心を掴まれました。

ですが場面が進むにつれ、調査も考察もほとんど無いままあっさり判明する危機の正体、太陽系と人類にとっても宇宙規模に重大・壮大な内容にも関わらずろくな調整も検討もなく即座に実行が決定される危機回避計画、タメも何も無くサクサク進む作中時間、と尺足らず感がみるみる内にあからさまになっていき、結局最後まで観てもダイジェストというよりあらすじだけ映像にしたみたいな映画だったな……という感想を持ちました。(2時間超える映画なのに)

SF面以外でも人間関係のドラマで面白くなりそうな要素はあるのに、ろくな掘り下げも描写も無いので、その方面でも全然惹き込まれないんですよね……。

原作(厳密には「先行ノベライズ」らしいですが)はほんと面白いんだけどなあ……。
まあ無いんでしょうけど、どこかの配信プラットフォームで連続ドラマとしてリメイクされたりしたら観てみたいです。
炭酸煎餅

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