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革命前夜のbennoのレビュー・感想・評価

革命前夜(1964年製作の映画)
3.6
『革命前夜を生きなかった者は、生きることがいかに甘美かを理解できない…』
ー ターラン ー
   (フランスの政治家兼外交官)
                

フランスの文豪スタンダール『パルムの僧院』を基にしたベルトルッチ監督自身の自伝的青春譚…。

1960年代…イタリア北部の古都パルムで暮らしていたブルジョワ階級の青年ファブリツィオ…彼は小学校教師チェーザレの影響を受けコミュニズムに傾倒…。当時は日本でも学園闘争が盛んだった頃です。

ファブリツィオは婚約者と別れ、自分が信奉する思想を共有して貰いたいと親友アゴスティーノに勧めます…しかしその親友の突然の死…自殺とも思える彼の事故死にショックを受けます…。

やがて彼は母の妹…つまり叔母と愛し合うようになり、許されない恋に苦悩しながら自分を模索し続けます…。

ストラーロの撮影でモノクロ(一部カラー)を観るのは初めてでしたが…流石に画力は半端なく特にカメラワークが素晴らしい…詩的でシンプルな台詞を画で魅せる演出…中でも叔母ジーナ役のアドリアーナ・アスティの表情を大胆なクローズ・アップで捉えるシーンがとても多いです…。

とても目の大きな美しい女優さんで…監督の後の奥様でもあります…。トリュフォーがドヌーブを撮りたがるのと同様にベルトルッチもアドリアーナを沢山撮りたかったのでしょう…また彼女の60年代ファッションもアクセサリーを含めたスタイリングがとても素敵でした…。

ストーリーはシンプルで、今作は映像が特に際立っていたと感じます…。

ただしひとつ、編集がとてもヌーベル・ヴァーグ…作中でもゴダールを言及したり、『女は女である』のポスターが使われていたり…編集では、何度も同じショットの繰り返しや叔母ジーナの可笑しな眼鏡ショー…ちょっぴりゴダール風味です…ただ許容範囲ではありますが…。


特典映像ではベルトルッチ監督やストラーロ撮影助手(当時)、音楽のモリコーネなどのインタビューもあり、とても興味深く楽しい話が聞けました…。


thanks to; leylaさ〰︎ん𓏸𓈒𓂂𓂃ᗢᘏ୭♡

 
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