アー君

デモンズのアー君のレビュー・感想・評価

デモンズ(1985年製作の映画)
3.7
ダリオ・アルジェント製作総指揮、ランベルト・バーヴァ監督作品。

前回のレビューはパート2で本作が最初である。どうして製作年どおりに視聴しなかったのは悔やむところだが、時が経てばさほど気にすることはないだろう。

映画館内で起きている状況が観客にも同様に起きて恐怖が重なる興味深いプロットは、当時としてはビデオも一般的に普及しておらず、映画は劇場という理屈であれば観客の恐怖心と閉塞感は強まる。しかし欲をいえば続編(マンション編)と何か繋がりがあると面白味は増したのではないか。

怪しげな仮面をアイテムにしたり、ラブクラフトによる神話世界の影響があるようで、これは悪魔が人間に取り憑くデーモニッシュ(dämonisch)であり、死者が蘇って襲ってくるゾンビものとは一線を画している。

この両作品を比べると本作に軍杯が上がってしまう。技術面における赤を基調とした原色のライティングは「サスペリア」を彷彿させるし、進行におけるテンポの良さは流石ダリオ・アルジェントである。(ちなみにゾンビもアルジェント版を推している。)

音楽は当時流行したモトリー・クルーやサクソン、アクセプトなどのヘヴィメタルを主に使用していたが、残酷なゴアシーンとディストーションが上手にユニゾンをしていた。(リック・スプリングフィールドもいましたが。)

最後のヘリコプターのシーンは偶然というか唐突すぎるところはあるが、この惨状が屋外でも起きていることを観客に伝えている絶望的な場面であり、そしてロメロ版ゾンビのオマージュとしてみることもできる。
アー君

アー君