とりこ

ユージュアル・サスペクツのとりこのネタバレレビュー・内容・結末

ユージュアル・サスペクツ(1995年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

おもしろい!創意に富んでおりご馳走を貰った脳が大変よろこんでいる。

よく誤解されているようだが これは暗黒のフィクサー「カイザーソゼ」を巡る謎解きなのではなく、実際のところわれわれが世界に触れるその見え方・現れについての物語なのだ。
終盤で示されるとおり明らかにヴァーバルは身体についての嘘があり迎えの車にはコバヤシが…とすれば確かにカイザーソゼに近い存在かもしれない。しかし嘘だと言うのはその発言のどこまでなのだろう?ヴァーバルが詐欺師であることは本当で、もしかしたら未だカイザーソゼに脅迫されているのかもしれない。身体の不自由さについての怖ろしいまでに見事な嘘もカイザーの指示だったのかも。いや、そもそもカイザーソゼとはこの世に存在するのだろうか?確かめる術が何ひとつないのだ。どこまでが嘘で何が真実か分からない、その点こそがこの映画の醍醐味。われわれの世界への眼差しをも揺るがしてしまう。

しかしよい映画というものは、本筋とは関係のない場面でこそ人を惹きつけるものだ。オープニングを映す夜の海の波の暗さ、哀しくも不思議で奇妙な音楽、カリフォルニア サンペドロの夕焼け……大変美しく、心に響いた。
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