雨虎

ドラえもん のび太と竜の騎士の雨虎のネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

ネッシー事件のように現代でもひそかに恐竜は存在しているのではないか?という内容がまだ盛んだった時代の作品だ。ネッシーの写真を撮影した人物が捏造であると告白する前なため、そこから着想が得られたのかもしれない。
そういった内容と地底人の説も組み合わさってできたUMA要素が多い作品となっており、オカルトマニアの人からすれば楽しい作品だと感じた。

明確な敵というものが存在しない今作では謎の解明をするというミステリーの要素が特に強い。恐竜を扱っているという意味では過去作にもあるがそれとも異なる上、今までの明確な相手との戦いらしい戦いも少ない。そういう意味では異色の作品と言えるだろう。

タイムマシンが登場するため、ループ的な要素を盛り込むことで謎の解決への布石が序盤から打たれており、決定的な要素を最後にいれることで解決するというミステリーとしては王道とも言える物語の構成にもなっている。そのため、のび太たちは地底世界の謎の解明するための証拠を探すという画的には地味になってしまっているような感覚があった。

初めて見たときは地底人という存在が恐ろしく感じて拒否感があったが、作品を見ていると地底人であるバンホーらは人間に対して友好的な態度だった。むしろ、人間の方が敵対的であったため、差別的に対する注意が含まれているのかもしれないと感じた。

この作品ではスネ夫の単独行動が比較的多いが、あまりにも扱いが酷い。探しに行くという話があったのにも関わらず、のび太は忘れていたとはっっきり言ってしまっている。ドラえもんも夜中にこっそり探す話をしていたがうっかり寝てしまっている。
尤も、スネ夫も勝手に行動した結果であるというのもあり、そうなってしまうのも分からなくはない部分も確かにあるが…。

恐竜の絶滅を隕石衝突によるものとしているのもあって、大津波が登場する。そういう理由もあってか、古い作品であるのにもかかわらず全くリメイクされないが、大津波が物語の解決にあまりにも重要な要素を持っているため、仕方がないのだろう。

不安を煽ったり、緊張感が高まり、謎の多い作品であるために難しい話が多かったが、ラストの地底に置いてきた荷物の返送をバンホーら地底人がしてくれた。しかし、のび太が地底世界を作った当初の目的である0点の答案も隠されずに返送されてしまったせいでママの玉子に見つかってしまうというオチは安定の面白さだった。
注意が地底世界に向いていただけに、私も当初の目的をすっかり忘れていた。そして答案を見て思い出すというのび太の感覚をしっかり味わえる。
雨虎

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