このレビューはネタバレを含みます
家族って何なのか抉られる作品だった。
家族のテーマなのにずっと不穏で地に足ついていない人々ばかりが出てくる。そんな人同士でここまで人間の本質を問うてくることに脱帽した。
この作品も東京公園と同じく…
恐らく仕事の要件で鳴っている携帯を車から川に投げ捨ててしまうのだけど「そんなことで時間は止まらない」とか言うのとか、撃たれて腕から血流してるのに「東京に帰って11時の会議に出なきゃいけない」とか言っ…
>>続きを読む家族の崩壊、家族への執着。
形としての家、囚われる概念としての家族。崩壊していくしかないその概念としての家族。
もう崩壊するしかないのにも関わらず、
その事を分かっているにも関わらず、
逆に分か…
究極の家族映画。
どこまでいっても人は孤独。
出来る事といえば努力する事となるべく誠実に生きること。
劇中1度も砂漠が出てきてないのに、衣装のテイストとかフィルムのトーンとか黄金色のロケーションと…
主人公が銃を向けられて撃てよって何度も言った時、「本当は家族で一緒に居たい」の裏返しの言葉に聞こえてすごく良かった。
家族に対してなんども「自分の意思が分からない」という主人公は仕事を優先しながら…
疲れた精神に浸透して潤うようだった。
終盤、柏原収史が三上博史の額に銃を突きつけるところで、いくらでもサスペンスとして撮れそうなものを、かなり緩いものとして撮るというところが、青山真治の真髄なんだ…
もの凄く久々な観賞。全編通して緊張感があって悲痛で最後ちょっと甘っちょろくて、めちゃくちゃ良い。役者陣も最高。
このどん詰まった世界において“それで、お前はどうしたいんだ?”という極めて素朴な問いか…
(C)2001/2003「月の砂漠」製作委員会