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神の道化師、フランチェスコのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

3.8
ロッセリーニのコメディだなんて珍しい、と勘違いして申し訳ない💦身も心も人生もすべて神に捧げた聖フランチェスコのエピソード集でした。

教会から離れ、貧しい人々、困難な中にいる人々に直接布教や施しをして歩き、村に留まり、教会や住みかを自分たちでつくり、しばらくしてまた移動するまでの苦労を描いています。フランチェスコを尊敬し、行動を共にする十数人の修道僧と共に暮らしています。

ただ、途中までずっとコメディ視点で観ていたので、そう見えてしまうシーンが多々あり、正直こんがらがっています。タイトルにすっかり騙されました。

修道女が訪ねてくる時の僧たちのトキメキがもう可愛らしくて、ひげを剃り身綺麗にし、花のじゅうたんを作ります。なんだか白雪姫の小人さんたちみたいでした。

村の厄介者ジョバンニじいさんを預かるエピソードが最高で、ロッセリーニなのでおそらく一般人です。自然体すぎて、余分なことを言ってしまい、他の僧たちにしょっちゅう口を押さえられ画面から引きずり去られていきます笑。演技指導を途中でやめた感じで、たき火シーンでは興奮状態。誰か止めて!火が服に移っていました。ラストの別れの感動シーンは、フランチェスコ(役)も笑いが抑えられなくて、笑いながら顔を覆っていました。やはりコメディだったのかな。(→調べたら修道士は皆本物の修道士でした。あのジョバンニも。皆さん芸達者です)

子羊と呼ばれている一人の聖人はジョバンニとの最強の組み合わせ、でもラブリーすぎて、何されても微笑み返します。盗賊のような鎧兜ガチガチの領主も、そのかわいさに怒りが収まっていく。これも奇跡のエピソードなのでしょうが、映像になると、なんだか可笑しい。

苦しみを描くネオレアリズモのロッセリーニがなぜ本作を作ったんでしょうね。 たしかに苦労を自ら進んで受けにいくことが描かれていましたが、爽やかで穏やかなフランチェスコは満たされていて苦労を苦労とも思っていないようでした。

聖フランチェスコは、裕福な家の出ですが出家し、清貧を実践し、生前から聖人と呼ばれていたそうです。

もう少し詳しい半生が映画化されていて、ミッキー・ロークが演じているので気になります。
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