genarowlandsさんの映画レビュー・感想・評価

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内なる傷痕(1970年製作の映画)

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フィリップ・ガレルの謎な前衛的作品。他のレビューにもあったけど、歌手でありモデルでもあった妻ニコのMVみたい。なぜこれを借りたのか理由を思い出せず。

画は砂漠や氷河で素っ裸のガレルがニコに振り回され
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裸の島(1960年製作の映画)

3.9

サイレントではないけどセリフは入らない。ときどき環境音が入る。瀬戸内の小さな離島で自給自足する家族の厳しい日常を描いている。新藤兼人監督、乙羽信子、殿山泰司主演の著名な作品。海外からの評価も高い。>>続きを読む

エドワールとキャロリーヌ(1951年製作の映画)

3.9

楽しいというレビューが多かったなか、毒味を感じてしまった理由が以下です。スルーしてください。

上流階級の妻と駆け出しのピアニストの若夫婦の喧嘩のラブコメなんだけど、ジャック・ベッケルは密かな毒を盛り
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モンパルナスの灯(1958年製作の映画)

3.9

ジャック・ベッケル監督が描く画家モディリアーニの悲劇。ジェラール・フィリップとアヌーク・エーメの造形美にうっとりする。写真を見ると、実際の夫妻がそうだった。

モディリアーニの悲劇は他にもアンディ・ガ
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告発の行方(1988年製作の映画)

3.9

連投すみません。TLのちほど読ませていただきます。お返事も遅くてすみません。

キツいシーンがあるので、バイオレンス苦手な方は要注意。ジョディ・フォスターの演技が素晴らしく、最後まで引き込まれた。理不
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天使の復讐(1981年製作の映画)

3.9

下高井戸シネマにて、補助椅子も出るほどの盛況ぶり。『ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト 女性たちと映画をめぐるガイドブック』出版記念で、映画の中の多様な女性像を特集している。

前情報いれて鑑賞。
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ガールフレンド(1978年製作の映画)

4.2

とてもよかった。この女友達同士の気持ちのズレとか心に刺さったトゲとか、一緒にぐだぐだいる安心感とか、相手の恋人へのやきもちとか、近すぎる関係が心地よくも鬱陶しい感じの描写が丁寧に描かれている。

詩人
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カインド・ハート(1949年製作の映画)

3.8

サスペンスというより、ブラックコメディ。死刑囚ルイは、復讐のために生きてきた人生を振り返り、重ねた8つの犯罪を語っていく。

街の音楽家と恋に落ちたことで公爵家から追放された母の恨みを晴らすために、一
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おかしな二人(1968年製作の映画)

3.7

タイトルほどおかしな二人ではなかった。ジャック・レモン演じる几帳面過ぎて離婚されたフェリックスを同居人として受け入れようとするオスカー(ウォルター・マッソー)。完璧主義のフェリックスとテキトーなオスカ>>続きを読む

日曜日が待ち遠しい!(1982年製作の映画)

4.0

トリュフォーの軽妙さがとても魅力的なサスペンス。遺作だなんて、もっともっとたくさん撮ってほしかった。不動産会社の社長(トランティニャン)が妻殺しの容疑をかけられ、クビになった秘書(ファニー・アルダン)>>続きを読む

望郷(1982年製作の映画)

3.9

アンディ・ラウ目当てでラウのデビュー作を鑑賞。アン・ホイ監督とラウとの『桃さんの幸せ』がよかったので、タイトルからしてほほえましいのどかな作品を想像していたら、厳しく冷酷な、ベトナム戦争後のベトナムの>>続きを読む

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)

3.9

連投すみません。

良作。三人目を出産した女性に起きる奇跡。完璧主義だったり、周りに配慮しすぎたり、責任感強くて自分がやらなければと、追い込まれていたりするときにおすすめです。うるっときました。自分を
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私のように美しい娘(1972年製作の映画)

3.7

犯罪を犯した女性を取材する社会学者が悪女に魅了されていく。ファムファタールにしては正真正銘の悪女すぎる。トリュフォーのコメディは毒が強いのにどこか気が抜けているところが好き。

あまりの悪女ぶりに次の
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シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢(2018年製作の映画)

3.8

マチュー・アマルリック目当てで鑑賞。おじさんたちのシンクロナイズド・スイミングは他にもイギリスの『シンクロ・ダンディーズ』を観たことがあり、人生思うようにいっていない中年がひょんなことからシンクロには>>続きを読む

友情(1974年製作の映画)

4.0

工場経営者(イブ・モンタン)、医師(ミシェル・ピコリ)、作家(セルジュ・レジアニ)の三人の男たちの友情をクロード・ソーテ監督が描く群像劇。しっとりと文学的な匂いがして好みだった。

理想に向かって邁進
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ラ・マルセイエーズ(1938年製作の映画)

3.8

ジャン・ルノワールが描いたフランス革命。激しい戦闘場面は少なく、市民が自主的に参加していく様子が中心で、人々の思いや決意がまた人々を促し、反旗を翻すうねりがフランス国内に広まっていったことが市民の目線>>続きを読む

絞死刑(1968年製作の映画)

4.2

大島渚監督による死刑制度についてのシュールなブラックコメディ。死刑囚が息を吹き返してしまう異例の事態に対して、法に則った大島渚節のナンセンス喜劇が炸裂。刑務官、教晦師、牧師、所長、みな大真面目に各々の>>続きを読む

ASTROBOY 鉄腕アトム ~特別編:アトム誕生の秘密~(2003年製作の映画)

3.8

ロボット映画『アンドリューNDR114』観て気になっていたアトムが誕生した理由。
アトムは愛によって生まれ、最初から自由が約束されていた。誕生秘話のエピソードにうるっとした。
21分の短編。

アンドリューNDR114(1999年製作の映画)

3.8

人間に成りたかったロボットの喜びと哀しみの200年の人生。アイザック・アシモフ原作。ロボット役のロビン・ウィリアムズは半分近く、特殊メイクでロボットの顔をしている。SFとして良心的な作品で、穏やかなロ>>続きを読む

夜の来訪者(1954年製作の映画)

3.8

2015年のリメイク版と間違えてオリジナル(1954年)を鑑賞。ミステリー仕立てでとてもおもしろかった。原作は人気の戯曲で世界各国で上演されている。 婚約を祝っている晩、ブルジョワ一家はある来訪者によ>>続きを読む

神田川のふたり(2021年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

お気に入りのランニングコースである神田川沿いがロケ地だということで鑑賞。春、塚山橋から八幡橋辺りは多種多様な桜が咲き乱れ白から濃い桃色までピンク色のグラデーションを楽しめる桃源郷。その季節にその辺りを>>続きを読む

せかいのおきく(2023年製作の映画)

3.8

このお話は排泄物を汲み取り、農家に売っている中次と寺小屋で書道を教えるおきくのささやかな恋の物語。江戸は安政の頃、明治の足音が聞こえていた混乱の時代。そして、人々の世界観が大きく変わろうとしていた。>>続きを読む

気のいい女たち(1960年製作の映画)

3.7

初クロード・シャブロル監督。おしゃれなジャケで、お年頃の同僚4人の恋とおしゃべりがかしましいほどキャッキャとしていて、画はヌーヴェルヴァーグらしかったが、思いがけない展開にぞわっとした。「女たちは気は>>続きを読む

君が君で君だ(2018年製作の映画)

3.7

ストーカー歴10年にわたる3人が、彼女好みの坂本龍馬、尾崎豊、ブラピに成りきって生きるというキモさからも観る人を選ぶと思うけれど、余韻が爽やかな不思議な作品だった。

未レビューですが、松居大悟監督の
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北極星(2022年製作の映画)

3.7

船長として世界の海を航海する姉とその妹のドキュメンタリー。グリーンランドの映像が美し過ぎてこの世とは思えない。世界の涯にいるかのよう。複雑で苦難の背景が二人の日常会話からうかがえる。

氷河からの流氷
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春のめざめ(2006年製作の映画)

3.8

タイトルどおり思春期の少年の性と恋のめざめを美しくも残酷に表したロシアの油絵調のアニメーション。アレクサンドル・ペトロフは、ノルシュテインの弟子。

良家のお坊っちゃまが隣家の年上の女性と、同い年の住
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フィッシャー・キング(1991年製作の映画)

4.1

テリー・ギリアム天才!と思った。先が読めないめくるめくストーリー展開は言わずもがなだけど、多幸感に包まれるおとぎ話がたまらない。風が吹けば桶屋が儲かる式のロマンチックファンタジー。いや、友情がメインか>>続きを読む

かづゑ的(2023年製作の映画)

5.0

ハンセン病で10歳から瀬戸内の長島に住むかづゑさんに密着した四年間のドキュメンタリー。ハンセン病のこと、知っているつもりでいて、何も知らなくてごめんなさい。

90歳を超えたかづゑさんの子どものような
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いわさきちひろ 〜27歳の旅立ち〜(2012年製作の映画)

3.8

淡い色彩のなかでこちらをまっすぐに見つめる少女。海に向かって走り出す少年。雨の日に憂いている少女。いわさきちひろさんの描く子どもたちは忘れ難い。詩情あふれる作品を描いたちひろさんはご自身も絵のようにふ>>続きを読む

ゆるし(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

カルト宗教二世の女子高生の苦悩を描いた啓蒙映画。監督本人も学生時代に新興宗教に勧誘され入信した経験をもつ。宗教二世であった友人の苦難の実話と数多くの取材を元に制作されている。

啓蒙映画なので、映画の
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

5.0

何から何まで<命の力>に圧倒された。生半可な言葉では表せない。あらすじをなぞることしかできない。これがアートの力か。

写真家ナン・ゴールディンは、50万人が薬物中毒死した鎮痛剤の製薬会社の富豪一族が
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フォート・サガン(1984年製作の映画)

3.7

『Dune2』に触発され、砂漠の美しさを描いた作品を観たくなり鑑賞。アラン・コルノー監督は作り込みが徹底しているので、本作の砂漠も『Dune』に劣らず、本当に美しかった。このシーンが撮りたかったんだろ>>続きを読む

越前竹人形(1963年製作の映画)

3.7

水上勉の同名小説が原作。純情過ぎる竹職人喜助と遊女玉枝の悲恋。しっとりとした小説を読みたいと思っていたのに、先に映画を観てしまった。

悲話なのに、さばさばした印象は、玉枝演じる若尾文子さんのさばけた
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セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ(2000年製作の映画)

3.8

狂ってておもしろかった!

アンチ・ハリウッドのセシルBを教祖監督としたシネマテロリストによるハリウッド女優の誘拐とゲリラ撮影。

クルーたちのタトゥーに実在の映画監督たちの名前が入っている。

誘拐
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あとがき(2024年製作の映画)

4.3

青春映画の傑作だと思う。端役しかもらえない役者と吃音のミュージシャンのシモキタを舞台にした8年間、青春の一ページ。夢への不安や迷いと葛藤をリアルに真摯に丁寧に描いている。(熱くなって長文です)

夢を
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ヒロシマモナムール/二十四時間の情事(1959年製作の映画)

3.7

マルグリット・デュラス脚本、アラン・レネ監督。戦後14年、心に傷を負ったフランス女性と日本人男性が広島で一夜を共にする話かとわかりにくい会話を読み解きながら理解したつもりになっていたら、ラストの会話で>>続きを読む

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