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絞死刑のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

絞死刑(1968年製作の映画)
4.2
大島渚監督による死刑制度についてのシュールなブラックコメディ。死刑囚が息を吹き返してしまう異例の事態に対して、法に則った大島渚節のナンセンス喜劇が炸裂。刑務官、教晦師、牧師、所長、みな大真面目に各々の立場の任務を尽くすのだが…。

蘇生し、記憶を失って犯罪を認識していない男になんとか罪を認めさせ、(再び)死刑執行しようと様々な寸劇を大真面目に行うのがおかしい。

そのプロセスで少年の生育環境と少年が事件そのものを自分ごととして認識していない、言われたからそう答えているだけにみえることがわかってくる。

背景に物証なく自白のみで死刑となった実際の事件(小松川事件:女性二人を強姦致死)とその少年死刑囚(犯行当時18歳の在日韓国人)の存在がある。

当時、死刑についての様々な議論が巻き起こったという。被害者の親も少年の死刑に反対し、自営する会社で雇いたいとも表明していた。

少年には確かな記憶と認識がないことも記録されていた。

死刑制度に真っ向から反対する正攻法とは違い、法に則りながら、法の矛盾を突く大島渚監督すごいです。
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