炭酸煎餅

異人たちとの夏の炭酸煎餅のレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
3.3
原作が英国製作で再映画化される(各所記事での書き方を読んだ感じ、どうもリメイクという事ではない?っぽいですね)というのを聞いて、そういえばこれタイトルだけは知ってるけど観た事無かったな、と思って観てみたんですが……牡丹燈籠かなと思ったら牡丹燈籠じゃなかったかーと思ったら結局牡丹燈籠やんけ!!となる映画でしたね(伝わらない)w

いかにもバブル初期っぽい、主人公周辺に漂うどことなーく軽薄な感じは流石にちょっと時代を感じますが、話の本筋は「主人公が子供の頃に死に別れた両親と幻想的に再会して、出来なかった『親子での生活』を追体験する」という普遍的なものなので、わりと今見ても情感に訴えかけるものがあったように思われます。
ただドラマ的にはちょっとその「普遍性」に頼りすぎてしまっているのか、主人公がこれまでの生い立ちで感じていた「両親」や「家族」という概念への思慕・憧憬といった要素の描写が薄く、感情移入するのにセリフを聞いて観てる方の頭の中で補完しないと足りない感じがあったのはちょっと残念な所だったかなという印象でした。

Wikipedia情報によると企画の出発点はホラー映画だったらしく、古典怪談からのモチーフを感じさせる描写があったり、なんか急に「HOUSE」風になったり(あれ、もうちょっと本筋のプロットに絡めさせてたらあんな唐突感出なかったと思うんですけどね……)するのはその名残なのかなという感じもありますが(あと「主人公が結局、お母さんが作った"料理"は一回も食べていなかった」というちょっと奇妙な事実は「黄泉戸喫(よもつへぐい)」を意識してたのかな……とか)、全体としてはホラーと言うより「世にも奇妙な物語・夏の特別編でやってそうな幻想系の感動話」という感じでまとまっていたように思われます。
というかホラーという意味では「事務所利用の多いマンションで、住居として使っているのが自分たちだけだから」という理由で夜中に飲みかけのシャンパンボトルとグラスを持って「一緒に飲みませんか」と赤の他人の主人公宅に酔っ払って押しかけてグイグイ中に入ろうとしてくるヒロイン?(名取裕子)が個人的には一番怖かったですw
炭酸煎餅

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