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ブラックブックのayakosのレビュー・感想・評価

ブラックブック(2006年製作の映画)
4.0
家族を目の前で殺されたユダヤ人の女性が、スパイとしてドイツ軍へ潜り込む話。

薄暗く不穏な戦争の空気を保ちつつ、工作員として動く緊張感や裏切り者の匂わせなどのサスペンス要素もあるので長めの上映時間にもかかわらず、最初から最後まで怒涛の展開で息つく暇がない。

随所にえぐいシーンがあるのですすんで人に推しづらいけれど、久々に重厚なストーリを楽しめた。

WW2を取り扱う作品はナチスが悪というものが多いが、この作品はどの枠にも悪人も善人もいるというのが一貫しており、特に終戦後の立場が逆になった側の振る舞いが狂気的で醜く描かれているのが印象的だった。

エリス役の体当たりな演技も素晴らしく、積もりに積もった裏切りに対する怒りが棺桶のネジに集約されていて圧巻。

あえて説明を入れない数秒のラストシーンも見事。
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