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ルパン三世 カリオストロの城のhamaのレビュー・感想・評価

4.1
名作オブ名作。
宮崎駿で1番好き。

開始から監督の手腕が際立つ。
札束で画面に動きがある演出で始まり、
今では鉄板テクニックでもある「序盤にアクションシーンを入れて観客を引き込む」などの工夫を1970年代からやってのけるのは本当に凄い。

カーチェイスでは徐々に車が壊れる映像がとても面白く、スピルバーグ監督が「映画史上最も完璧なカーチェイス」と評したのも納得。
アニメーションのお手本となるシーンが多いって大学で習ったのを思い出した。

他にもアニメならではの遊びをこれでもかと詰め込まれていて素晴らしかった。
スバゲッティ争奪、水流に逆らって泳いだり、水越しの顔のグニャグニャ、屋根から屋根への大ジャンプ‥
挙げればキリがない。

日本警察のカップ麺や終盤の歯車の足場など、常に画面を動かして映像を面白くしていた。
カップ麺なんて食べなくてもいいのに、宮崎駿は立ってるだけの警備シーンのようなつまらない画は作らない。


脚本と構成も優秀。
序盤から偽札に気付くルパンの優秀さを印象付けさせたりと、要らないと思わせるシーンが1つも無くスムーズに進み、この時代で既に「引き算」の脚本であるのが本当に凄い。

銭形とルパンは普段は敵同士なのに、共闘したり仲良く隣同士でお喋りしてるのもベタだけど大好き。
お互い信頼し合ってるからこその連携が垣間見える。

次元と組んでる時もそうだけど、今作は味方サイドのベテランさが丁寧に描かれてるのが本当に嬉しかった。
手慣れてるからこそ、尾行や侵入を察知したり、けれども相手も有能で情勢が二転三転のドタバタにより、引き込まれっぱなし。

またルパン三世は原作漫画も好きなので、銭形が有能に描かれてるのも嬉しかった。
確か次回作からの銭形は、シリアスさは削がれてコメディキャラに全振りだった記憶。

埼玉県警のパトカーといった小ネタも多く、大満足な作品。


【その他メモ】
インターポール会議の「西側諸国」発言で今作が冷戦中の作品かと歴史を感じた。
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