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あまろっくのneokamakiriのレビュー・感想・評価

あまろっく(2024年製作の映画)
4.0
設定こそオリジナリティ溢れるが、意外に純な家族愛を描く作品。悪者がいない世界観は阪神尼崎とは相性が悪いという意味で、ファンタジーとして観るべき…良作。(悪者はアキラ100%ぐらい。あんな簡単にリストラはできないが)。

先月久しぶりに阪尼を訪れ、貼りまくりのポスターで初めて知り、7年尼崎に住んでいた者としては観るべき作品。とは言え「あまろっく」の存在すら知らず、ロケ地も駅前と商店街ぐらいしかわからないレベル。

突飛な設定こそあれ、古き良き温かい家族に憧れや懐かしさを覚える方には、間違いなく響く作品。キャスティングの妙が、これを成立させる。能面のような(褒め言葉)無機質な表情をたくわえる江口のり子が、細やかな表情や口調の変化を使い分け、作品を引っ張る。やや不安だった中条あやみも、水を得た魚のように活き活きと演じ、絶妙なアクセントとなる。松尾諭が鶴瓶になる説得力もなかなかだが、ワンシーンのみの高畑淳子が役得の怪演。なぜ結婚したのか、ギリギリ理解させる鶴瓶は言わずもがな(ギリギリですが)。

家族が欲しかっただけなら、他の選択肢はいくらでもあるはずだし、ラスト周辺の展開にやや強引さがあるのが残念なところ。ファンタジーだからやむなしとも思うが。

関西弁話者として、唯一聞き取れなかった「しばきまげるぞ」というセリフ、監督オリジナルワードと知って安心した。
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