事実は小説よりも奇なり、とはこのこと。実話は全く知らず予告も見ずの鑑賞だったので、きっとサクセスストーリーだろうと思ってた。コインが投げられてからの、転げ落ち方の半端なさ。全く憧れる人生ではないが、生きること、家族とは、を熱く語りかけてくれる良作。
直接的なシーンは映し出されないものの、想像に難くないそれらのシーンはえげつない。長回しの不気味さと訪れる事実の重さ。薬、銃、絶対ダメ。家族が一番大事と言い続ける子供達と父の、前半の微笑ましい光景の数々と、後半に繰り広げられる展開との対比。父親に焦点があたりがちだが、試合を見に行かない母親の描き方もポイント。実際はもう一人弟がいたというから、本当にヤバい汗
しかし何と言ってもザック・エフロンの作り込み具合のハンパなさ。前後の作品に支障をきたすレベルで、それくらいこの作品に賭けたということ。しかもリング上ではプロレスそのものをやっていて、当たっていないカットも多いと思うが、リアルでしかない。何十回とテイクを重ねたのだろうか。ラストを含め、使い分けられる表情も印象的。
テリーマンの足がなくなったのは、これがモデルだったのか？と思いながら、ラスト、あんなに飛ばしたらあかんやろうと笑いながら劇場を去る。
