「ヴィレッジ」「最後まで行く」の藤井道人監督作品。
清原伽耶を愛でるべき作品として、この評価。いつも明るい小悪魔的な年上女性として、魅力を存分に発揮する。アミが画面に映っている時は画面に惹き込まれる一方、それ以外は息継ぎに近いという意味で、もっと彼女のシーンが多くあって欲しかった。
ただ二つの時間を並行で描きながらも、これが後半にかけて重なり合って行く様は巧みで、監督の手腕が冴える。日台合作として、違和感なく機能している点も評価できる点か。
台湾と日本を股にかけるものの、シナリオは自体はそこまで新鮮味は無く王道。ただ主役二人と堅実な脇役陣が、一夏の鮮やかな思い出とロードムービーを通じた主人公の再生を、事のほか綺麗に描き上げる。その中でも役得ながら、道枝駿佑が自然体の好演。
これに観客それぞれが持ち合わせる甘酸っぱい恋の記憶が融合され、ファンタジーとして成立する。ただファンタジーが故、展開を想像できる点が惜しい。ちなみにこのルックスと財力で、恋愛と疎遠かつ引きずりまくる設定もファンタジー。
当て書きと思われるミスチルの主題歌は情景が目に浮かぶ。クローズアップされる岩井俊二の「Love Letter」が観たくなる作品。
