EnzoUkai

市子のEnzoUkaiのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
3.5
絶妙なキャスティングの勝利!
まぁ若葉竜也が真ん中に居る安定感。
トイレのピエタの時から只者ではないと注目し続けた杉咲花も、今や売れっ子と言って良いほどの活躍。こうした物語の主演を張れる実力は十分に持ち合わせている。
そして、最近はやたらと目に入る倉悠貴と宇野祥平、森永悠希がしっかりとスクリーンを豊かなものにしている。
で!、
そこに居られますのは我がミューズ中村ゆり。

ここ数年の映画製作本数はうなぎ登りだと言われるが、全国的に劇場に掛けられる本数は限られている。この映画もいわゆる生き残った作品であり、無論、その理由も分かる。
この監督の名前すら知らなかったが、杉咲花の名前で客を呼ぼうとする意図ありきではないのはすぐに分かる。演劇上がりの(演劇に足を突っ込んだ?)監督のようで、オリジナルは監督本人の戯曲であることから考えると非常に全面に作家性を出しつつも長編一本の製作までに繋げるところにその技量を感じる。
それも監督本人が映画制作会社を持ち、プロデューサーとしてこの映画を作り上げている。こうした気骨ある人達がどんどん良質の作品を世に送り出すべきで、また、粗製濫造気味の邦画界の体質改善は進まなければならないと思う。
この映画、重い重いと言われているが、娯楽性は高い方だと思う。暗い重いが邦画の信条のように追求されて来たことは決して悪いことでは無かったと思うが、やはり新しい世代が新しい邦画を作って行くべきだ。重い社会性を盛り込みつつ、ミステリー要素を入れ込むなんて素晴らしいと思う。そうした作品の面白さがお客を呼んでいる筈だ。
この作品を成功させた戸田監督に拍手を送りたい。
EnzoUkai

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