みむさん

バーヌのみむさんのレビュー・感想・評価

バーヌ(2022年製作の映画)
3.5
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にて。

家父長制と性差別的価値観残るアゼルバイジャンで息子の親権を獲得しようと奮闘する母親の姿を描いたもの。
タミナ・ラファエラ監督脚本主演。
紛争(第二次ナゴルノ・カラバフ紛争)と親権を巡るバーヌの闘いが時折重なって見える。
兵士万歳、強い男性を讃えよ的な雰囲気は、バーヌの離婚した旦那への周囲の称賛の目とどこか似てる。

旦那のDVを訴えても誰も信じてくれず、親権裁判で証言してくれる協力者を探すがどこへ行っても逆風(旦那には追い風)。
真実が権力や同調圧力の中で揉み消されていく様子は、規模を変えれば企業や国家の悪事隠蔽にも似ていて不快なことこの上なかった。

ただ、この映画ではバーヌ側も完全な善人とは描かれていなくて、自分のために必死すぎて周りがあまり見えていない様子や迷惑かける様子も描かれていた。

そして本当に頼ることが出来るのはやはり母なんだな。例え関係が良好ではなくても、理解者になってくれたのは救いだった。

女性が社会的弱者とされてしまっている状況で、そこから助ける訳でもなく、サポートする訳でもなく、モラハラパワハラあり正反対の外面と本性を使い分ける旦那。見ていて反吐が出るよ…😱