夜の外側 イタリアを震撼させた55日間/夜のロケーションを配信している動画配信サービス

『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間/夜のロケーション』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

夜の外側 イタリアを震撼させた55日間/夜のロケーション

夜の外側 イタリアを震撼させた55日間/夜のロケーションが配信されているサービス一覧

夜の外側 イタリアを震撼させた55日間/夜のロケーションが配信されていないサービス一覧

Prime Video
U-NEXT
DMM TV
Rakuten TV
FOD
TELASA
Lemino
ABEMA
dアニメストア
Hulu
Netflix
クランクイン!ビデオ
JAIHO
ザ・シネマメンバーズ
スターチャンネルEX
みるアジア
WOWOWオンデマンド

夜の外側 イタリアを震撼させた55日間/夜のロケーションの作品紹介

夜の外側 イタリアを震撼させた55日間/夜のロケーションのあらすじ

1978年3月のある朝、戦後30年間にわたってイタリアの政権を握ってきたキリスト教民主党の党首であり、5度の首相経験のあるアルド・モーロが、極左武装グループ「赤い旅団」に襲撃、誘拐されてしまう。世界が注目し、イタリア中が恐怖に包まれたその日から55日間の事件の真相を、アルド・モーロ自身、救出の陣頭指揮を執った内務大臣フランチェスコ・コッシーガ、モーロと旧知の仲である教皇パウロ6世、赤い旅団のメンバーであるアドリアーナ・ファランダ、そして妻であるエレオノーラ・モーロの視点から描く。

夜の外側 イタリアを震撼させた55日間/夜のロケーションの監督

夜の外側 イタリアを震撼させた55日間/夜のロケーションの出演者

原題
Esterno notte/Exterior, Night
公式サイト
https://www.zaziefilms.com/yorusoto
製作年
2022年
製作国
イタリアフランス
上映時間
340分
ジャンル
クライム
配給会社
ザジフィルムズ

『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間/夜のロケーション』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

4.3
 今年のイタリア映画祭のメイン・イベントがこれ。ゴールデン・ウィークの最終日に開催された今作の上映は13時ちょうどに始まり、まず前半2時間45分を観劇した後、30分の休憩が入り、その後残りの2時間45分を観るという心底とち狂ったイベントで、何と上映分数は驚異の5時間30分。それでも今作をどうしても観たかったのは監督が大好きなイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオの新作だから(最新作は現在開催中のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品中で、現地情報では何か賞を取るのではと言われている)。今作も昨年のカンヌ国際映画祭で上映され、観客総立ちのスタンディング・オベーションが鳴り止まなかったという。もともとはイタリア国営放送RA1において6話完結の1時間のドラマとして放送されたものを6話全てをドッキングし、2時間45分の前後編の映画に仕上げた。然しながらアヴァンタイトルやエンドロールはあえて編集せず、6話全てで流れると言うざっくりとした仕上がりだが、6話全てのエンドロール前の曲が違うなどドラマとしてもえらく凝った作りで、その重厚な構図とベロッキオの刻印が見える並外れた人間ドラマは、とてもこれがドラマだったものとは思えない。マルコ・ベロッキオは2003年に傑作『夜よ、こんにちは』を撮っており、今作『夜のロケーション』で扱う事件も正に1978年に赤い旅団が起こしたアルド・モーロ元首相の誘拐殺人事件であり、赤い旅団側からしか描けなかった物語を俯瞰で見て、イタリア史に残る陰惨な事件を丁寧に掘り下げる。

 アルド・モーロは戦後一貫して与党だった中道右派政党のキリスト教民主党の政治家で、イタリアで戦後最も長く首相を務め、6年以上イタリアを率いていた。人気と人望を集める一方で彼は堂々と穏健路線に転じたイタリア共産党と協力し、新政権の樹立を目指していた。日本赤軍や連合赤軍、それにパレスチナ人民解放戦線。オリヴィエ・アサヤスの傑作『カルロス』の悪名高いOPEC本部襲撃事件など、世界各国で危険なテロが同時多発的に起きた70年代のあの不穏な空気の中、正に新政権樹立のその日に前代未聞のテロは起こる。1978年3月16日、ローマの自宅から車で下院に向かう途中、市内中心部のマリオ・ファーニ通りで2台の車で乗り付けた極左テロリスト集団「赤い旅団」に彼は誘拐された。この時、5人のボディガードはすべて射殺。マルコ・トゥリオ・ジョルダーナの『フォンターナ広場 イタリアの陰謀』で描かれた1969年に起こったフォンターナ広場爆破事件と共に「鉛の時代」を代表する事件としてイタリア史では語り継がれている。この凶悪な事件はすぐさま国家規模の事件となり、内務大臣コッシーガ、首相アンドレオッティ、法王パウロ4世の知るところとなる(トイレでの嘔吐が凄い!!)。映画は1話、5話の途中から最終話を編集で繋げば時系列も完璧な映画が出来たはずだが、2話、3話、4話ではそれぞれにコッシーガ、アンドレオッティ、パウロ4世が水面下で試みた人質解放交渉の裏側のシリアスなやりとりに肉薄することで、映画そのものがぐっと厚みを増した。

 もしもあの時、アルド・モーロが誘拐されていなければ現在の世界線がどのようなものだったのかは想像しにくい。新政権が樹立されていればイタリアは共産主義に取り込まれ、ベルリンの壁崩壊やペレストロイカ及びEU設立にも多大な影響を及ぼしたかもしれないし、あくまでイタリア国内の出来事だと静観し、ドイツではベルリンの壁崩壊は粛々と進んだかもしれない。然しながらアルド・モーロ誘拐事件のスキャンダラスな裏側では、共産主義が西側諸国に接近することを嫌った冷戦構造下のアメリカ諜報機関の存在があったともまことしやかに囁かれている。正に世界秩序と覇権争いが当時ローマで行われていたのだ。今作のベロッキオの描写もその辺りの仄暗い細部を隠そうとしない。つまりあの時、地球上の様々な政治的な力が僅か55日の間にイタリアの命運を左右からグリグリと攻め挙げた結果、1人の人間の命と引き換えに世界の平和は保たれたという強引な見立ても出来る。巨匠マルコ・ベロッキオの描き方も史実に忠実に描くと言うよりもむしろ、フィクションの中に歴史の要人たちを置くことで、あえて映画的な広大な宇宙に我々を突き放す。歴史というのは過去に起きた出来事の集積であるものの、そこには幾つもの仮説や妄想が余白として議論され、見えない史実を炙り出す。もはやそのベロッキオの応答こそが20世紀のミステリーへのテーゼであり、ある種今のプーチンのウクライナ侵攻への無意識な応答たらしめる。休憩30分でも流石に疲れたが、ミステリーの深淵に迫る驚愕の5時間30分に思わず身震いがした。真に驚異的な映画体験を強いる並外れた傑作。
[イタリア、何もできなかった人々の物語] 100点

超絶大傑作。1978年3月16日、イタリア元首相アルド・モーロは誘拐された。彼が推し進めていた共産党との連立政権の信任投票が行われる、歴史的な日の朝のことだった。当時のイタリアは1969年12月12日に起こったフォンターナ広場爆破事件以降、極右と極左のテロ組織による衝突が断続的に続く"鉛の時代"という重苦しい時代にあって、モーロを誘拐した"赤の旅団"も極左テロ組織だった。誘拐事件は55日間にも及び、結局モーロは殺害されて事件は終わった。平島幹氏による超絶詳しいブログによると、モーロ誘拐殺人事件に関しては今でも様々な人間が様々な角度から検証し続けるほどのトラウマを残し、イタリア現代史の空白になっているとのこと。ベロッキオは20年前に『夜よ、こんにちは』でも同様の題材を描いている。同作では誘拐実行犯が主人公となって、社会と非現実の狭間にいる人間たちの極限を描いていた。

本作品は六話構成のドラマである。五話目まではそれぞれ、モーロ、彼の"息子"として共に政治人生を歩んできた内務大臣フランチェスコ・コッシーガ、モーロの友人で時のローマ法王パウロ6世、赤い旅団メンバーで誘拐事件の参加者アドリアーナ・ファランダ、モーロ夫人エレオノーラが視点人物となって、モーロ誘拐殺人事件の顛末を時系列順に追っていく。コッシーガ篇では、彼が警察のトップということもあって、捜査情報とその混乱を網羅的に描いている。同時に躁鬱の彼が"父親"的存在であるモーロを助け出そうともがき苦しみながら、何もできない様子を描き出す。終盤で極めて嘘くさいタレコミを信じて精神病院に駆け込む展開はエレオノーラ篇でも繰り返されている。ここではコッシーガの政治的信条(反共や社会的弱者への軽蔑)とエレオノーラの信心が分かりやすく対比されている。パウロ6世篇では、公人としての彼と私人としての彼を対比し、キリスト教徒のトップという立場にありながら苦悩する教皇の姿を描いている。身代金も超速で用意して裏工作したのが裏目に出て捜査を混乱させ、キリスト教信者ではない旅団メンバーへの問いかけに思い悩む。高齢にも関わらずシリス(痛そうな鎖で断食に似た軽度の身体的懺悔効果がある)を腹に巻いたり、等身大の十字架を背負ったり、不信心を打ち消すような?行動も、モーロ解放には効果がない。一方、旅団のアドリアーナ・ファランダ篇でも、信心が揺らぐ様を描いている。旅団メンバーも武力闘争が負け戦であることを悟っていて、勇敢に戦って死にたいだけだったのだ。監禁期間が長引くほど国民感情も悪化していき、他の共産主義グループもドン引きする中で、主要メンバーは殺害以外の選択肢を失っていく。ファランダはそれに意義を唱える。六度登場したオープニングで、パウロ6世が頭上に掲げる聖体と赤い旅団の丸星マークが重なる瞬間がある。一瞬だったので気付かれてないだけなのかもしれないが、かなりチャレンジングなことだ。正反対の彼らは本質的には同等の存在なのではないか、という、モーロによる問いかけをベロッキオが証明しようとしているのではなかろうか。続くエレオノーラ篇も含めて、これらの視点人物は何も出来なかった人々なのだ。それは当時のイタリア国民たちも同じことを思っただろう。

『夜よ、こんにちは』と同じく、本作品でもモーロが生きて解放されたシーンが挿入される。なんなら冒頭から解放されて病院にいるシーンで始まり、なんもしなかった三愚眼鏡コッシーガ、アンドレオッティ、ザッカニーニがバツが悪そうにベッドを囲む。或いはコッシーガの幻想として、生きているモーロが車のトランクから出てくる。まるで、そうでもしないと咀嚼しきれないかのような気迫すら感じる。"夜の外側"という題名も象徴的だ。

追記
第1話のラスト、全てが始まる瞬間に、ジャネットの"Porque te vas?"が流れ出す。個人的に思い入れのある曲なので嬉しかった。ラストでモーロがカメラを覗き込み、諦めたかのように目を閉じるのが印象的だった。君ならどう思うね?と問いかけているかのようだった。
para

paraの感想・評価

4.8
時代の十字架を背負ったアルド・モーロ。
ifとfact
真実いや真相は闇の中

赤い旅団によるモーロ事件をifの世界線も入れて描く。
今からちょうど45年前。
政敵が関与したとも言われる政治の闇の世界をそれぞれの立場の視点から追う6話構成で描く。
330分、腰はやられましたが一瞬たりとダレることなく見応え十分な重厚感あふれる力作。
当時の映像も使用されますが、テロップで自由に再構築したとあり。

茶番の国葬にマフィア映画ばりの政治ドラマ。
ごく一部の者による狂信的な革命思想は当時の熱を知らない者からすると革命家が成し遂げたものって社会の混乱?と醒めた目で見てしまう。

イタリア映画祭のツイートによれば、
時代は冷戦下。そんな中で共産党と手を組もうとすることは国内外からの反発を呼んだと。
国際関係も背景にあったであろう。

ヴェルディの怒りの日が強烈。

マルコ・ベロッキオ巨匠。
イタリア映画祭 

『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間/夜のロケーション』に似ている作品

カルロス

製作国:

上映時間:

326分

配給:

  • KADOKAWA
3.9

あらすじ

暗号名・カルロスを名乗るイリッチ・ラミレス・サンチェス。革命を夢見る彼は、さまざまな襲撃事件の支援や実行を経て評判を上げていった。そして1975年、同志と共に行ったウィーンのOPEC本部襲…

>>続きを読む

シシリーの黒い霧

製作国:

上映時間:

124分

ジャンル:

3.3

あらすじ

1950年のある日、シシリー島の小さな村で1人の男が殺された。彼こそ誰もが捜していた独立義勇軍の闘士、サルバトーレ・ジュリアーノだった。彼を利用し、殺害したのは誰なのかを追求するが、重要な…

>>続きを読む

親愛なる同志たちへ

上映日:

2022年04月08日

製作国:

上映時間:

121分

ジャンル:

3.7

あらすじ

1962年6月1日、ウクライナ国境近くのソ連南西部【ノボチェルカッスク】の機関車工場でストライキが勃発した。「雪どけ」とも称されたフルシチョフが目指した豊かな共産主義統治にも陰りが見え始め…

>>続きを読む

ゴッドファーザーPART III

上映日:

1991年03月09日

製作国:

上映時間:

162分

ジャンル:

配給:

  • パラマウント・ピクチャーズ
4.0

あらすじ

シリーズの最後を飾る本作では、コルレオーネ・ファミリーのドンであるマイケルがファミリーの事業を合法化し暴力にまみれた裏社会から抜け出そうとする姿を描く。