EnzoUkai

ほつれるのEnzoUkaiのネタバレレビュー・内容・結末

ほつれる(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

もう這ってでも見たい加藤拓也作品。
今作も冒頭からどうなるか?どうなるか?とハラハラしてみてた。
もう最初からネタバレで参ります。

とにかく、不倫っちゃ不倫ってすぐ分かるシチュエーション。
門脇麦そのものが不穏そのもの(笑)。
そして染谷将太の使い捨て。
ただ、あまりカット数もないこの二人の逢瀬の中でも、互いの求め合うところはすぐに分かるのが加藤拓也の凄さ。
何故、彼と彼女が引っ付いたのか直ぐに分かる。
そして、この映画の大仕掛けが不倫相手の突然死。
後ろめたい関係が前提にあるから、そこで残された者がどう立ち振る舞うか?
ここが今作の肝!
恐らく、見る者殆どが、
門脇麦さん、それは違うだろ?
って思いながら見てる筈。
(いや、それは私が甘いからかな。世の恋愛上手な紳士淑女はそうなるよなぁって思いながら見てるのかも)
まぁ、それでも曲がりなりとも熱情をそそいだ相手の死を目の当たりにしてそれはあるのか?って思いはすると思う。
でも、やはり、そこからが物語にグイグイ引き込まれていく。
門脇麦夫婦の会話を通して、様々な背景が見えてくる。
この描き方、並じゃない。
なにが並じゃないのかって言うと、二人の性格が手に取るように分かる。そういう性格なら、こういうこともあるだろうねって思えてしまう。今現在を見せておきながら過去まで見えてくる。
これは前作でもそうだったが、入りは違和感しか感じないキャラクターにどこか分かる部分が出てくる。シンクロ率は低いのに、何故か共感や同情が湧く。
そして、そこに居るキャラクターが自分じゃなくて良かったって思えるのが皮肉っぽい。
もうラストを迎える時に、私は笑いが漏れてしまった。
そう、夫婦が手を繋ぐところ。

もうすぐ還暦を迎える自分からすれば30代の夫婦なんて想像もつかないんだけど、こんな若い才能がそういうリアルを見せてくれるのは本当にありがたい。
リアルと言っても、そういうリアルっぽいものを見せてくれてありがとうと言いたい。
同世代だって、自分の家の外の家の中でのことなんて見えるわけではないし。。
EnzoUkai

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