こなつ

雨降って、ジ・エンド。のこなつのレビュー・感想・評価

雨降って、ジ・エンド。(2020年製作の映画)
3.8
映像ユニット「群青いろ」17年ぶりの劇場公開作品。「東京リベンジャーズ」の脚本を手掛けた高橋泉さんの脚本・監督作品。独特な雰囲気を持つ、古川琴音主演。

映画を撮っても公開されるようになるには、本当に大変なんだと感じた。2020年に「群青いろ」が製作したこの作品も、幾つかの映画祭を経てやっと今年公開の実現に至った。それも東京東中野のミニシアター1館の上映だけ。応援したいという気持ちもあって劇場へ足を運んだ。

写真家志望の女性と中年ピエロの奇妙な出会いから始まる予測不能な物語。遠藤日和(古川琴音)は、写真家としての才能がなかなか認められない日々、派遣バイトをしながら過ごしている。ある日、たまたま雨宿りに忍び込んだ店で、ピエロのようなメイクをした男・雨森(廣末哲万)に出会い、思わずカメラを向けた彼の写真がSNSでバズったことから、日和は不純な動機で雨森に近づく。雨森を利用するために近づいたはずなのに、2人で穏やかな時間を過ごすうちに、日和は雨森に次第に惹かれて行く自分に気付く。しかし、雨森には想像を絶する秘密があった。

何者かになりたい気持ちを持て余している若者が、「生まれつき不良品」と自分の事を思っている中年男性に出会う。話を聞いてくれる人がいるだけで救われる。シグナルをわかってあげるだけで救える。倫理的問題にも突っ込んできたこの作品は、とても大胆だった。怪しげでユーモラスな描写を古川琴音と廣末哲万が自然体で演じていた。
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