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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命のLifewithmoviesのレビュー・感想・評価

3.9
第76回(2023年)カンヌ国際映画祭コンペティション作品。
イタリアの巨匠マルコ・ベロッキオが、史実を元にして描いた宗教的対立の歴史絵巻。19世紀のイタリアで実際に起きた事件がベースとなり、スティーヴン・スピルバーグ監督が映像化に向けて、原作権を取っていたが、実現に至らず、今回、マルコ・ベロッキオ監督が映像化したといういわくもある話題作。

(編集部が宗教を信じないこともあり)
世界で起きている戦争や紛争、差別に補助線をひいてみると、現代のイスラエルとガザの戦争を始め、世界各国で起きる弾圧や紛争の根源として、「宗教」の名のもとに、他者の価値観を否定する動きがあり、それを肯定する根拠となっている。また、この作品でも描かれる「権力」との関係が、現代にも同様のことが起きていると感じてしまう。
日本でも、新興宗教の2世問題が顕在化しているが、新興宗教や新宗教だけでなく、既存の宗教でも同じではないかと感じてしまう。
当時は明らかでなかった事象も、その多くが科学的に証明できる現代に、ただの史実としてではなく、私たちの生活に補助線をひいて、考え直したい。そんな気持ちになった歴史劇。
2024年4月27日@MOVIX京都
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