Ayu

PERFECT DAYSのAyuのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.0
TIFFこと東京国際映画祭のオープニング作品に当選して旦那さんと鑑賞。生のヴィム・ヴェンダースはとても穏やかに話すお茶目な人で、キャストの皆さんもほんわかした柔らかい雰囲気をまとっており、始まる前から心が温かくなった。ヴェンダースがアオイヤマダちゃんと本作が俳優デビューとなった中野有紗ちゃんのコメントのあとに素敵な言い回しの補足を加えたのにニコニコしてしまう。

木の葉が風に揺れ、隙間から差す木漏れ日を見上げながら、繰り返しのように見えて昨日とは少し違う日々を慎ましやかに生きる、主人公の平山の何気ない毎日を温かく見守る124分。細かいエピソードがいくつか繋がっていてオムニバスのような構成で、私はとても好きだった。冒頭の掴みに乗れるかどうかで本作の相性がわかるかもしれない。

移動中の主人公の車で流れる洋楽のカセットテープや、お昼休みにいつもの場所で木漏れ日を撮るフィルムカメラの懐かしさ。車中で流れる曲たち(ほぼ全て洋楽なのは何故だろう)や主人公が読む小説(チョイスを褒める古本屋の店主?のおばさんが良い)に自ずと知的好奇心を刺激される。軽やかに生きているように見えるけど、しっかりとしたバックボーンがあるかのような主人公を演じた役所広司のまとう雰囲気が好き。

舞台挨拶で僕は最後にちょっと出てくるだけです、と言っていた三浦友和と役所広司のシーンがめちゃくちゃ良くて、おじさん2人の素朴なやり取りにグッと胸に込み上げるものがあった。知りたいと思ったら、生きてるうちにその場で試してみるのもありだよね。
Ayu

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