ペア招待券をいただいたので、予告を観てもらったところ旦那さんに俺も行きたいと言われ連れ立って劇場へ。去年の10月のTIFFオープニング上映ぶりの映画デート（私たちは私が観たい映画をタイムツリーに入力もしくは直接プレゼンし、旦那さんが興味があれば着いてくるスタイル）
観る前は主人公ノラと境遇が似ているな（最後のシーンで同じ36歳であること、移民一世の娘であること、初恋の人に告白せず仕舞いで渡米したところ、ちなみに私は初恋の人と一度も再会出来ないまま今日に至る）と思っており、ところどころで彼女の感情や言動にシンパシーを感じるも、終盤のバーのシーンでの夫アーサーのアップの表情に申し訳なさが爆発してしまいすごく複雑な感情のまま駆け抜けた109分であった。あの会話の最中に主人公2人を映さずアーサーだけをアップにする演出がエグすぎて胸が痛い、もちろん意図的にやっているのがすごすぎる。
人生は出会いと別れの連続で、たらればを言い始めてみればキリがなく、そのたらればに囚われてしまうことで歩みを止めることが必ずしも良い結果には終わるとは限らない。36歳のノラが今取りたい賞をすぐに答えられなかったように、本当の夢や希望が曖昧になってしまい、流されるように生きていくので精一杯な時もあるよね、と現代の誰にでもあり得る普遍的な悩みを丁寧に描いてくれて良かった。
すごく岩井俊二みがあるフイルムの色彩とカット割だったねと旦那さんと言い合い、俺アーサーの気持ちちょっと分かるよ、と笑う旦那さんに手料理を思いっきり振る舞った。
