Uえい

愛していると伝えてのUえいのレビュー・感想・評価

愛していると伝えて(1977年製作の映画)
3.5
クロード・ミレール監督は初めて見た。去年映画祭がやってたみたいで、チェックしておけばよかったなと後悔した。本作はパトリシア・ハイスミス原作の映画化で、度を越したストーカーの狂気が幻想的に描かれる。

冒頭、ヒッチコックの「レベッカ」を見るシーンがあるが、本作のキャラクター関係に似ていた。主人公ダビッドは幼馴染のリーゼと婚約して山の中に家まで買ったが別れていた。しかしリーゼを忘れられず付き纏う。ダビッドの住むアパートの隣人ジュリエットはダビッドに一方的な恋をし、彼の秘密を知ろうとストーカーする。

ダビッドがリーゼに付き纏う姿は暴力的で恐ろしい。友人やジュリエット、そしてリーゼの夫にも容赦無い。演じるジェラール・ドパルデューの体格もあってか、誰にも止められない様に感じる。そして、ジュリエットがリーゼに見えたり、最後、リーゼが微笑んでいる様に見えたり、映像もダビッドの妄想とも言える内容になっていき、どこまでが現実か分からなくなる。

そして最後、ダビッドはリーゼにウェディングドレスを着せ、プールに転落する。そして時間が巻き戻る演出があるが、これが素晴らしすぎた。チープに感じる可能性もある演出だが、至るまでにダビッドの幻想と映像が混じってきていたため、妄想が映画的に描かれていることがすんなり受け入れられた。スコリモフスキの「早春」も思い出す、忘れられない名シーンだった。
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