ＰＭＳとパニック障害という病状によって自分の心身を自分でコントロールできなくなることがあるという共通点をもつ二人の交流を描く作品。
繊細な心の機微を物語るのに相応しいだけのディティールをおろそかにしない作風は素晴らしく、ストーリーの背後で交わされるちょっとした雑談や会話がとても自然で心地よい。
この映画が語るのは夜明け前の暗く苦しい時間があったからこそ、自分の外側にいる他人の同じような悩みや苦しみに気づくことができるというような思いやりの在り方で、それは主人公二人の関係だけでなく、主人公たちを見守る、親しい人を亡くした過去を持つ元上司と社長という二人の姿によっても示されている。
映画を見終わった後原作を読んでみると、プラネタリウムのくだりや山添の元上司の設定など重要だと思ったところが映画の脚色で付けくわえられていることがわかり、映像化の適切さにも改めて感心した。
