しゅんすけ

ザ・キラーのしゅんすけのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
4.3
「ザ・キラー」

NETFLIXで配信中のアクション・スリラー。
監督はデヴィッド・フィンチャー、主演はマイケル・ファスベンダー。

フィンチャーが「Mank/マンク」に引き続き、NETFLIX映画をリリース。ただ、オーソン・ウェルズを描いた「Mank/マンク」と比べると、だいぶ肩の力を抜いて作っているというか、8割ぐらいの力で最大限に面白いものを出してきたという感じに見えました。

失敗を犯した殺し屋の逃走劇&自分の恋人を痛めつけた(と考えている)依頼主グループを1人ずつ追い詰めていくという話。

ティーザー予告を観たときは、トレント・レズナーによる音楽がめちゃくちゃカッコよくて、「ファイト・クラブ」のOPみたいだなって思ってたんですが、いざ本編を観ると意外にコメディ?と思いました。

主人公が自己暗示というか、いろいろ自分に守らなきゃいけないルールを語りかけるんですけど、ほぼほぼその通りにいかない。じゃあポンコツ殺し屋なのかというと、マイケル・ファスベンダーの病んだイケメンぶり、バッキバキの撮影と編集のリズムから繰り出される鮮やかな証拠隠滅アクションが面白くて、すごく不思議な映画だなと思いました。殺し屋映画として割と近いポジションにあるのは、阪元裕吾監督の「最強殺し屋伝説 国岡」かなと思います。

「セブン」や「ファイト・クラブ」、「ゴーンガール」を観たときのズシンと腹にくる感じの映画ではまったくないんですが、フィンチャーが繰り出す独特のコメディがクセになってくる一本かなと思いました。