しゅんすけ

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビーのしゅんすけのレビュー・感想・評価

4.6
「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」

2021年公開の女性殺し屋2人組の緩い日常とハードな殺し屋稼業を描いたアクション映画の続編。

たまに殺しの仕事をしつつも、毎日をだらだらと過ごしているちさととまひろは、ひょんなことから大量の未払い金を抱えてしまい、銀行へ期日ギリギリに払込にいくも、銀行強盗と遭遇し、やむを得ず撃退。しかし、規則を破ったとのことで、謹慎処分をくらってしまう。同じくして、正規の殺し屋組合所属を目指す兄弟が、ちさととまひろの席を狙って、襲い掛かってくる・・・という話。

ゆるい掛け合いとハードなアクションの振り幅がとても楽しい映画でした。そして何よりちゃんと笑えるのが素晴らしい。豆苗やレトルト牛丼などの貧乏飯もそうだし、特に「花束みたいな恋をした」のすごい細かいおすすめポイントを熱く語る渡辺哲さんがすごい楽しかったし、ラバーガール飛永さんなどの殺し屋業界でも、事務的仕事をする人たちとの社会人なら一度は出くわすであろう会話のやりとりが面白かったです。

 本編が始まる前に日本映画の予告が何本か流れたのですが、ふざけたSEと変顔ばかりで白けてしまったのに対し、本作はぼそっとしたセリフが面白くて、ずっと劇場でくすくす笑っていました。

「最強殺し屋伝説 国岡」シリーズもそうですが、殺し屋業界というのをハリポタみたく壮大な裏の世界に仕立て上げた「ジョン・ウィック」と違って、派遣社員的な貧乏で、担当者とやりあいながら、しがない暮らしを送る人たちに仕立てあげたのは発明だと思います。

アクションシーンに関しても、1にも通ずる頭突きであったり、近接銃撃戦も面白かったのですが、着ぐるみでの格闘シーンや、「アウトロー」「新しき世界」「哀しき獣」あたりを連想させるオープニングの狭い空間でのアクションもアイデア満載で面白かったです。

あとは、今回は結構予算がついたのか、録音関係が格段にグレードアップしていました。阪元監督の前作「グリーンバレット」では、特に板尾さんとの銃の訓練のところなど声が小さすぎて全く聞こえなかったのがすごく気になったのですが、本作はその辺のイライラが概ね解消されていて、とてもよかったです。

コメディ映画としても、アクション映画としても、日本映画のトップクラスに君臨する素晴らしい作品だと思います!