イスケ

巨人ゴーレムのイスケのレビュー・感想・評価

巨人ゴーレム(1920年製作の映画)
3.3
まさかゴーレムがオカッパ頭の泥人形だとはな。

ウィッカーマンとかアイアンジャイアントみたいに巨人ゴーレムの大きさに圧倒されるのかと思いきや、むしろ門の大きさに圧倒されるという。規模的にはハニ丸君ぐらい。
ゴーレムより大谷翔平の方が絶対でかいのよ。


先に作られたカリガリ博士の方がTHE表現主義的だけれど、やはり美術面で優れているので画的に映えていて魅力がある。

口から呪文(?)が文字として出てくるギミックはチープだけどサイレント時代ならではの面白さがあって、
クライマックスにかけてのスペクタルも当時としてはかなり見応えがあったんじゃないだろうか。

一番良かったのは、ラストのゴーレムと無邪気な子供たちとのコントラスト。
「死」の反対語は「無垢な子供」なんじゃないかと思うぐらいに、瑞々しい美しさが悲しく使い捨てられてしまったゴーレムを包み込んでいた。なんだあの綺麗な光景は。


そもそも、どの程度ユダヤの伝承に忠実に作られているんだろう。
少なくとも映画では、「ゴーレムを都合よく使い捨てるユダヤ人」という側面も見られ、ユダヤ寄りでもドイツ寄りでもなく、客観視されてるような印象は受けた。

ダビデの星を奪おうとした時に「イヤッ!」ってするところはもう人間そのもので、それこそ無垢な子供のよう。
花も好きだし女性にも興味あるし、感情を持ち始めていたゴーレムを無理やり始末してしまおうとするところに、単純な親ユダヤじゃないところが見て取れましたよね。


ラビ氏はえらく尊敬されていたけど、使っちゃいけない魔法を使って宇宙を危うくするドクター・ストレンジみたいだったけどなw

「尊敬されるラビは二度民衆を救いました」

ん?自作自演じゃないか?w


何はともあれ、この作品を点で語るわけにはいかず、
ホラーやフィルムノワールの土台になっていることや、フランケンシュタインに影響を与えていることなど、存在意義に目を向けたい作品です。
イスケ

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