しゅんすけ

M3GAN/ミーガンのしゅんすけのレビュー・感想・評価

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)
4.3
「M3GAN ミーガン」

ブラムハウス製作のホラー? というよりはサスペンス。
製作にジェームズ・ワン、脚本は「マリグナント」のアケラ・クーパー。

交通事故で両親を亡くしたケイティは母親の妹で、玩具メーカーの開発者として勤めるジェマに引き取られる。仕事一筋な性格が災いし、ケイティと距離を感じ苦悩するジェマは、秘密裏に開発していたリアルな少女の見た目をした次世代AIロボット「ミーガン」とケイティを交流させるのだが・・・・というストーリー。

ホラー要素は薄めで、残酷描写もないため(アメリカでもPG-13指定で公開)、「マリグナント」的な方面の面白さを期待するとかなり物足りないのですが、「子育て」論、「毒親」映画として優れてるなと感じました。

まず、冒頭でのジェマの、同僚や隣人とコミュニケーションがとれず、アレクサみたいな機械にマッチングアプリの通知機能を登録しているなど、かなり孤独で、多分恋愛もろくにしてなくて、コミュ障であろうという描写の手際良い説明が見事でした。ジェマは正直、かなり人間的に問題がある人なんですけど、すんなり物語の世界に入り込めました。

ジェマもケイティも美人は美人なんですけど、常に表情に疲れとかが滲んでいる感じがすごくこの映画に説得力をもたらしていて、予告から見るポップな感じとは程遠い、優れた人間ドラマだと思います。

「子供のしつけ(=機械的なもの)は機械に任せちゃって、余った時間は自分のために使おう」っていうジェマが考える一見よさげなキャッチコピーも、そこから浮かび上がる「子供が機械に依存しすぎる」「子供と親のつながりがなくなる」っていうところからの考察、惨劇もなるほどなと考えさせられました。あとは「死」にまつわる論議も注目で、そこは「2」で大々的に展開されるであろうから、続編にもとても期待のもてる1作となりました。

 ひもQみたいに伸びる耳などは面白かったんですが、クライマックスの盛り上げも「マリグナント」や「透明人間」に比べるとちょっと物足りなさは感じてしまいました。

 ホラーというよりは、人間ドラマとしていろいろ考えがいがある1作なので、そういうものを期待して観に行くといいと思います。