Ayumi

聖なる証のAyumiのレビュー・感想・評価

聖なる証(2022年製作の映画)
3.0

舞台は1862年のアイルランド。食事を取らず4ヶ月間生き延びている少女がいるという町に、イングランドの看護師のリブ(フローレンス・ピュー)が呼び寄せられる。アンナと言う11歳の少女は、「天国からの贈り物で生きているのだ」と話し、多くの人々がこの現象が「奇跡」だと信じて疑わない。少女の観察を任されたリブは真相を探ろうとする。

アンナは奇跡だと信じたい家族や神父たち。それはこれがアイルランドの大飢饉の直後だと言うことと関連しているだろう。アンナはみるみる衰弱し、やがて動くこともできなくなってしまうが、家族は「それがあの子の運命なのだ」と言って、まともな食事を与えようとしない。リブは、何度も「アンナに食事を与えるべきだ」と訴えるが、神父たちに退けられてしまう。やがてリブは、アンナがどうやって生き延びているのかを見つけ、アンナから衝撃の告白を聞く。

宗教と現実の間で子どもが板挟みになるというのは、「夜明けの祈り」に通じるテーマだと思った。信仰(そして神父たちのメンツ)が優先され、実際に生きる子どもが犠牲になるというのは、もどかしく歯軋りする思いだった。閉塞感のある村や、息の詰まるような村人とのコミュニケーションが輪をかける。その村ならではのしきたりを壊してでも、アンナを守ろうとするリブが潔い。スローペースな映画だが、ぜひ最後まで見てほしい。
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