予告の動画から、「明るいお母さんと理知的なお父さんにすくすくと育てられた子ども時代についての話かな」と思っていたら、思いがけず暗い歴史が飛び出してくる。それでもユーモアを忘れず、最後は明るく締めたのがスピルバーグっぽいと思った。
おもちゃのレールで映画のシーンを再現したり、ボーイスカウトの子たちと西部劇を作ったりと、子どもの頃から才能を開花させるサミー。しかし家族で訪れたキャンプの映像を編集するうち、サミーは母親のある感情に気づく。一家は父親の転勤でカリフォルニアに移るのだが、家族の溝は無視できないほど大きくなっていた。
長い爪のままピアノを弾く母親や、キリスト好きのガールフレンド、キスマークをつけて現れるジョン・フォードなど、周囲の人たちが魅力たっぷりに描かれている。母親の選択は家族にとって辛いものだけれど、「心が思う通りに生きなさい」というセリフがサミーを後押ししたのも事実なのだと思う。
