KnightsofOdessa

イフゲニアのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

イフゲニア(1978年製作の映画)
3.5
[イフゲニアちゃん可愛すぎん?] 60+10点

1977年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。『エレクトラ』『トロイアの女』に続くエウリピデス三部作の終章。トロイア戦争出陣直前に間違えて聖なる鹿殺しとなって狩猟の女神アルテミスを怒らせたアガメムノンは、敵方に味方するアルテミスの逆鱗に触れ、艦隊出港直前に逆風状態となり、長女イーピネゲイア(イフゲニア)を捧げる必要に迫られる。このままだと浜辺にいる兵士たちが反乱しかねないので、イーピネギアをアキレスと結婚させる体で呼び寄せ、意気揚々とやって来たイーピネギアとその母クリュタイムネストラは真相を知って愕然とする…云々。ロケ地はエウリピデスの時代からあっただろう、そしてなんなら神話の時代からそこにあったかもしれないギリシャの大地と海であり、トロイア戦争も本当にこんな感じだったんだろうという圧倒的なリアルさがある。イギリス人がシェイクスピアやる感じか(『オーソン・ウェルズのフォルスタッフ』とかコンセプトは近い?)。夕陽と木造船という構図など風景のショットはヴィットリオ・デ・セータに近いものを感じる。だが最早そんなことはどうでもよく、超絶美少女イフゲニアちゃんがあまりにも可愛すぎる。クリュタイムネーストラー役のイレーネ・パパスを筆頭にギリシャ映画界を代表する俳優たちに囲まれて、少々浮いてる感じはするが、あんまりにも美少女なので(大切なので二回目)逆に悲劇性が高まっているのは事実である。

アンゲロプロスとアスカリアン以外でヨルゴス・アルヴァニティスを初めて観たのだが、自分が生贄になると知ったイフゲニアちゃんが逃げ出すシーンの主観ショットみたいな扇情的な映像もちゃんと撮れるんだなと。あと、オデュッセウスが"さっさと生贄にしちゃいましょうよ~"とか言ってイフゲニア到着後すぐに兵士を扇動するクズ野郎として描かれてるのも新鮮だった。そりゃ帰宅に10年かかるわけですわ(?)。
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