Ayumi

私は世界一幸運よのAyumiのレビュー・感想・評価

私は世界一幸運よ(2022年製作の映画)
3.5

勝手に、自分を幸運だと思い込もうとするSNS依存症の女性の話かなと思っていたけれど、全然違った。ニューヨークでライターとして成功し、裕福な金融マンとの結婚を控えた女性が、あるドキュメンタリーへの協力を頼まれたことを機に、高校時代の記憶と向き合うことになるというストーリー。

主人公のアニはかなりシニカルで、接客中の店員や同僚とにこやかに会話をしているように見えて、内心毒づきまくっている。そして自分は計算高さによって婚約者との結婚をつかみ、成功しているのだと分析している。ん、婚約中にしてはちっとも幸運に見えないのだけど…と思わせるが、高校時代のシーンが挿入されてその理由がわかるようになる。

アニの身に降りかかることは悲惨で、許し難いことなのだが、一番しんどかったのは母親の態度だった。「お前は私の育てた娘じゃない」。これに聞き分けのいい子どもだったアニは、「ごめんなさい」と謝る。母親だったら、一緒に加害者の家に行って殴りかかるくらいしてほしい。原稿を出すと決めた時の婚約者の言うことも自分本位で、ひえっとなる。

ただ、Women's bibleの上司が言う言葉はとても説得力があって、「他人の望みではなく、自分の望みを口にして行動しろ」。どんな仕事につくか、結婚するか出産するかどうかも、みんな意外と世間の常識に従って生きているものなんだと思う。そうしないと決めたアニはとってもかっこよかった。
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