アー君

苦い涙のアー君のレビュー・感想・評価

苦い涙(2022年製作の映画)
3.6
1972年に公開された「ペドラ・フォン・カントの苦い涙」のリメイク。

オリジナルであるファスビンダー版は最近DVDで視聴していたので、今回のフランソワ・オゾン版との比較は容易に思い出すことはできた。

根本的に配役設定を女性から男性にした事で、矛盾するようではあるがファスビンダーが求めたオリジナルに近い形となった。そしてピーターを演じたドゥニ・メノーシュはファスビンダーの生き写しではないかと思うほどの存在感であった。

ストーリーの流れはおおよそ同じではあるが、今回のオゾン版はカメラワークや配役の心理描写に固定された室内劇でありながらも奥行きがあり、メロドラマというよりも生々しい喜劇といったところだ。

パンフレットは特色の金を大胆に使い表紙は青金、本文を赤金にすることでトーンのを少しだけ変えている。そして表紙には少し手を加えたデザインである。使用した紙が特色インクを全面に刷っているため沈んでしまったのでパキッとしたコート紙にすれば艶やかさがみえたとは思うが。

[新宿武蔵野館 9:45〜]
アー君

アー君