色々と曖昧に紗をかけた構成と演出が最初から最後まで気になりすぎて、難解とも言い表せない自慰的な作品のうちの一つ?
ケイトブランシェットの演技によって何となく訴求力のある魅力的な作品と錯覚しがちで、実は本作自体が主人公ター同様に傲慢且つ押し付けがましい哲学的作品なのかなぁと感じざるを得ない。
決してつまらないという感じではないのだが、フィクションにも拘らず異常にノンフィクションぽさを醸し出しているのが個人的に肌に合わず。
それは恐らく、前述の通りケイト・ブランシェットの力演に尽きるものなのだろうが、“映画”として観るとハテナが多すぎる。
シンプルに孤高の女流マエストロが抱える苦悩やジェンダーコンプレックス、傲慢且つ利己主義的で神経質な作品と捉えるとその良さも幾つか感じ取れるの上でのスコア3.5。
それを特筆するとすれば
序盤の伏線からの中盤回収、そして終盤に陥るターの窮地に至っては、とても求心力がある展開で、“オケ”“チェロ”“5番”などのキーワードの回収が特に秀逸で面白い。
エンディングのシーンが敢えて希望の光としての演出だとするのなら、次回作での挽回劇もセットで観て初めてこの作品のカタルシスを感じることができるような気がしてならない。
いや〜、
やけにストレスの溜まる作品だったなぁ。